わたしの宿は彼の部屋
その後はアッと言う間だった。1つ綻びが出たらもう、スルスルと
結局のところデックスさんはメアリーの事が好きで
元々疎ましかったアランが メアリーと付き合い出した頃から余計に恨む様になった。
しかもそのアランとメアリーが婚約したことで切れてしまった
兄のウイレムを殺す事で犯人としてアランが捕まれば弱ってるメアリーを慰め、優しくした自分の事を好きに成ってくれるしで一石二鳥に成るのではと考えた。
とてつもなく浅はかな考えで、ウイレムが標的に成ったのはアランの幼馴染でメアリーの兄 単にその方がよりアランもメアリーも弱るだろうって言う単純な事だった。
ウイレムも、可愛そうと言えば可愛そうなんだけれど。
デックスが捕まった事で手を貸したもう1人もすぐに捕まったらしい。
なのに………。
「ねぇ、ウイレム なんで成仏しないの?」
[何でかなぁ?俺にもどうしてなのかわかんない]
「何か他に未練が有るとか?」
[う〜ん、思いつかない]
「まぁ良いけど でも勝手に私の頭の中覗かないでよね!すっごく不快なんだからね 、このままだと私のプライバシー無くなっちゃうもの。」
[勝手に解るものはどうしようもないだろ?]
「もう!ウイレムと関わったお陰で大迷惑」
[でもさ、そのお陰で住む場所出来ただろ?良かったじゃん]
「…………。」
そうなんです、あの後メアリーと、お父さんが、ウイレムの事で画家を諦め村を出たんじゃ、住む場所とか困るだろう
しかもウイレムの妹の婚約者で有る アランを助けてくれた恩人だし 気の済むまでウイレムの部屋で良かったら使ってくれと言ってくれたんだよね。
勿論有り難くそうさせてもらうことにしたよ。
だって、お金無いし、行く所ないし……。
「だからと言って何でこの部屋に居るの?私着替えられない!」
[だってここ俺の部屋だったし、1人は寂しいじゃん]
「ハァ〜、せめて着替える時位外に出ててよ!」
[解ったよ、出てるよ]
当座の着替えとかは、メアリーが用意してくれた。そう言えばここは洋品店だったね。
着替え終わって下に降りて行くとメアリーとお父さんのビスカスさんがご飯の支度をしていたから、手伝う事にした。
母子家庭だったから家事は私も出来るのです!
用意ができテーブルに付くと怒涛の質問責め
ウイレムが亡くなったばかりでまだ実感が湧かないねから始まって、どんな出会い方だったんだ?とか、どっちが先に好きだと告白したんだ?とか 正直言ってウイレムの事良く知らない内にこの状況に成った訳だしどう答えたら正解なのか……
でも、きっとそうして私に話しかける事でウイレムの死を考え無いようにしてる気がする
ただ出逢ってまだ1日なのに 何を言っても申し訳無くて嘘がどんどん膨らんでその内破裂しないかな?
あの後ウイレムは、しばらく姿を消したままだった。ちょっと言い過ぎたかな?殺されたのは彼が悪い訳じゃ無いし家族が側に居てももう話せないんだものね……。
わたしが母さんを亡くした時寂しかった、ウイレム は逆の意味で今寂しいんだ。いくら自分が余裕無かったからと言ってあれは無かったよね 反省してる。
あれから3日、朝食の手伝いしながらこの先どうしようかメアリーに相談したけど裁縫は得意じゃないし、何か他に手伝える事無い?って聞いたら商品の整理とか、接客を手伝ってくれると助かると言うのでする事にしたけど私に勤まるかなぁ?
私が着てた制服を見たメアリーがあの洋服可愛いし商品にしても良いか?って言うからもちろんOK!この世界では膝上は有り得ないらしくそこは長めに作るって。
「あかりの居た国ではこんなに短い服を着て歩くの?この国では有りえないよ」
そうです、私の顔立ちが薄べったいのでこの国の人では無いと認定されました。後、髪の色も黒は珍しいねと
でも、それ以上はあれから聞かないでいてくれている。
もう、3日もウイレムの家族と過ごしてるけれどとても優しい人達で私に家族が居ないと知ると ウイレムと婚約してる訳でも無いのに本当の家族と思ってくれて良いんだからねと言ってくれた。
ウイレムの遺体はまだ帰ってこない………
今日初めてのお客様!「いらっしゃいませ。」そう言ってご婦人を見ると「ん?」
身振り手振りで何か訴えてるおばさんが居た
薄いよ、影が薄くて後ろが透けて見えてるよ
(これってあれだ!ウイレムと同じ幽霊さん?私やっぱり見える様に成ったの?あれ?でもあの人はウイレムと違って薄い)
[みたいだね、おはよ あかり]
(オォ!びっくりした急に現れないでよ…おはよ、この前は言い過ぎたごめんね)
[ん?この前?いや俺もごめん、ズット無視されてた所に君が俺を見つけてくれたからさ、舞い上がって急に色々頼んだりして悪かった。]
(じゃあ、お相子って事にしよ もう言いっこなしね)
[わかった]
(ところであのおばさん何を言ってるんだろう…)
[聞くの?また、厄介ごとに成るかもしれないよ?]
(そうかもだけど、困ってそうだし気になるよ)
[人が良いね、俺の事にしてもさ、文句言う位なら関わらなければ良いのに。]
(うん、でも……。頭の中から話しかけられるとおもう?)
[どうだろ?試してみれば?]
(そうだね、あの〜黄色いエプロンをしたおばさん、聞こえますか?)
『え!貴女わたしが見えるの?』
(聞こえたんですね?何かお困りですか?)
『えぇ、えぇ、そうなのこの人カレンと言うのだけど忘れん坊さんでね お鍋を掛けたままここに来てしまってるのよ、このままだと火事に成るわ!お願い知らせて。』
(えー、大変!でもいきなり言っても信じて貰えないよねどうしよう…)
[何か方法ないか?]
考え込んでいたら、おばさんが
『あ!そう言えばカレンはとても信仰深いのよ何かそんな事で騙せないかしら?』
(う、信仰?わたしこの国の神様知らないし)
『実際に出来なくても良いじゃない!ねぇお願い早くしないと火事に!』
(え、えっと何かそれらしい言い方とか感じとかどうすれば…ウイレム〜何か無い?)
[はぁ?何かって何!どんな物が良いんだよ]
(う、信仰、信仰 …… 大体この国の神様って信仰の証とか無いの?) [ねぇよそんなの!]
(このさい何でも良い あ〜何か、何かそれらしい物〜)
[この国は信仰の証とかは無いけど、宝石とか水晶とか石関係に魂が宿ると言われてるかな?そうだ!俺の部屋に指輪が有るあれどうかな?]
私はウイレムの部屋に飛び込んだ。
(ウイレム、何処にあるの?)
[机の引き出しの奥探して見て!]
ウイレムに言われた通り引き出しの奥を探ると小さな小箱が見つかった。
そしてその小箱を開けてみた私は驚いてウイレムを見る
(こ、これ?って婚約指輪???ウイレム貴方誰かに結婚申し込もうとしてたの?)
[……振られたんだよ。だから渡す前に終わったし捨てるつもりだった。まぁ、丁度良いだろそれ使えないか?]
(良いの?) [どうせ捨てるつもりだったし良いよ]
私は複雑な思いを抱きながらも指輪を握りしめ階段を降り、持ってきた指輪をはめた
(その人私と薬指のサイズ同じだったのね何だか変な気分だわ)
「あの、すみません」
「あ!ごめんなさいまだ決めてないのよ」
「いえ、違うんですあの突然すみません わたしこの指輪をし始めてから この頃何処からか声が聞こえてきちゃうんですけど 気持ち悪いけど……えっとそれでお名前はカレンさんですか?」
「!!え、はいカレンですけど…。」
「わたしいま、聞こえて来たのがカレンさんの家で鍋から火が出るって事なんですけど心当たりが有りますか?」
「あ!はい!きゃー忘れてたわ、御免なさい帰るわ またね。{この子って名前まで解るのね、凄いわ神様の声が聞こえるなんて本物だわ!}」
そう言ってカレンさんは慌てて帰って行った。
違うよ、神様の声は聞こえないからね!