あかり紛争する
「アランさん、ウイレムが言ってました 刺した人はアランさんの同僚だと。心当たりが有りますか?」
「え?同僚?」
「はい、同僚です。アランさんが大事にしてたナイフを持ち出せる人で、アランさんがそのナイフを大事にしてる事を知ってる人じゃ無いかと思うんですけど。」
「……持ち出せる…知ってる…ま、まさか、いや有り得ない彼の筈は」
(うん、その人だね 大体テレビドラマなんかだとさ、そう言う人が犯人なんだよね)
[ねね、テレビドラマって何? そのテレビドラマって犯人がわかるものなの?]
(説明が難しいのよ)
[ふ〜ん、まぁいいや、それより今はアランの事だよね!]
「私、犯人を見ればわかります」(女探偵か、私は!)
[探偵もやってたのか?あかりは凄いな!]
(してないよ!そんな気分って事よ。)
[成る程、成る程]
「わかりました、アラン殿そいつの名前を教えてくれないだろうか。このお嬢さんに会って貰えば全てわかる事だからな。」
「その同僚の名前は同室のデックスです。もし、俺の持ち物を持ち出せるとしたらデックスしか思い浮かびません。」
「成る程、オイ!誰か兵士宿舎に行ってデックス殿を連行して来い!」
「ハッ!行って参ります!」
「さて、ところでお嬢さん座席の下に隠れて居たそうですが、私が思うにその位置から犯人の顔が果たして見えるものなのでしょうか?{もしやこのお嬢さんが犯人なんて事は無いよな?}」
(ドキッ)[ヤッパ鋭いな]
「あの……ウイレムが小さな声で特徴を言ったんです。私耳は良いんです!それに後ろ姿は見えました大好きだったウイレムを殺した犯人なんだもん!」(もう、ヤケ糞だよ!何が悲しくてこんな目に遭うのよ、全部ウイレムの所為なんだからねウゥゥ涙止まらないよ〜)
[ご、ごめんよ、そんなに泣かないでよ悪かったよ お願いだから泣き止んで……俺どうして良いかわかんないよ。]
そう言いながらウイレムは私の涙をそっと拭ってくれようとしたけど
途中から涙が消えるのは可笑しいものね、私はその手を押し戻した
さり気なく周りにわからないように。
でも彼の顔はとても傷付いたように見えた
「ややや、こりゃすみませんな ウイレム殿を亡くして哀しいと言うのに心ない事を申しました {まぁ良いだろう犯人の目星さえ掴めれば。} 」
「いえ、早く犯人を捕まえて…」(じゃ無いともう、心が折れそうです…)
「おぉ、そうですな、犯人を捕まえてウイレム殿の無念を晴らしましょう!ですからどうか泣き止んで下さい」
1時間程して憲兵さんがデックスさんを連れて来た。
「あの、なぜ俺がここに呼ばれてるのか良く分からないのですが?{まさかばれて無いはず。早く帰って始末しないと見つかる前に}」
「実はですな、ウイレム殿の連れだと仰る女性が現れましてね。その女性が言うにはウイレム殿が亡くなる前にその女性に犯人の特徴とアラン殿の同僚だと言い残されたらしいのです。その女性は犯人の後ろ姿も見た。そこでデックス殿と面通し願いたいと思いましてね。」
「はぁ?俺が何故ウイレムさんを殺さないといけないんですか?すれ違う程度しか面識も無い恨みも勿論有り得ないのに!」
隣の部屋から身体半分突き入れて叫ぶウイレム
[こいつだ!俺を殺したのは間違いなくこいつだった!]
(ウイレム落ち着いて)
「まぁまぁ、落ち着いて下さい!面通しさえすれば直ぐにわかる事ですし、貴方も要らぬ疑いを掛けられたままだと寝覚めも悪いでしょう、スッキリしてお帰り頂ければ宜しいのでは無いですかな?{この慌てよう怪しいな}」
「もし、その女性が嘘を付いて俺をはめたとしたらどうするんですか?その女性が嘘を付いてない証拠は有るんですか?」
「そうですね、確かに言われる通りですな。」
「ほら、そんな証拠もなく会うなんて嫌ですよ。」
「成る程、仰られることもごもっともですな、ではこうしましょうこちらの部屋と、隣の部屋で答え合わせして行く。どうですかな?」
「少なくともそのお嬢さんは貴方と面識は無かったようですから、ここに居る貴方を知らない。彼女が知っているのは犯人なのですからね」
「良いでしょう!{あの場所には誰も居なかった間違いない!}」
「では、始めましょうか。」
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隣の部屋では…
「では、なんでも良いので犯人の特徴を教えて下さい」
「はい」
(ウイレム教えて!)
[いい?よく聞いてくれ眉毛はつり気味の短めで、目も小さめ、口の横に古そうな傷が2つ並んで有る]
わたしは、ウイレムが言った通りの人相を告げた。
私が行った人相を書き留めた憲兵さんが隣の部屋に入って警部さんにメモを渡した。
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「ふむ、では読み上げるからシードリー確認してくれ」
「はい!了解致しました。」
「眉毛はつり気味の短め」 「ハイ、その様に見えるで有ります!」
「うむ、次 目は小さめ」 「はい、その様に見えるで有ります!」
「最後、口の横に古そうな傷が2つ並んでる」 「ハイ、確認しました!」
「さて、如何でしょうか?どれも当てはまって居るようですが?」
「ち、違う 俺じゃない俺はやってない、そうだその女が俺をはめようとしてるんだ!きっとその女はアランと出来てて、2人で俺をはめようとしてるに違いない!信じてくれ」
「では、そのお嬢さんはいつ貴方とお会いしたのかな?聞いた話だとお嬢さんは画家で、この国に初めて来たそしてコゼット村に今迄居た。しかもこの街には初めて来られたそうだが一体いつアラン殿と会ったのでしょうな?ご希望ならその事について調査しますがね。」
扉の前で立ち聞きしてるととんでも無い会話が聞こえて来た
(ウイレム!ヤバイよ調査されたらバレちゃうよ。コゼット村なんて行った事もないのに)
[ウッ、そうなる前に何とかしないと]
(ヘッ?それは考えて無かったの?)
[う、うん………ごめん]
(終わった………私の人生ここまでなのね………)
「そんな事はしらん、それを調べるのは貴方達の仕事だろう!そ、そうだきっとその女もウイレムが邪魔に成ったんだ、あ!その女が殺したんだ、そうだ、そうに違いない!」
「では、どうやってアラン殿のナイフを手に入れたんでしょうなぁ?兵舎に潜り込むには女性ではリスクが高すぎる、アラン殿と手を組んでいたとすると何故わざわざ自分が疑われるようなネーム入りのナイフなぞ使うのか?わたしは、そちらの方が矛盾に思えるのですがね?」
「だから言ってるだろう、そんな事は俺に聞かれても困るそれを調べるのが貴方達の仕事だろう」
そこに、物凄い勢いで憲兵さんが入ってきて警部さんに耳打ちした。
「残念な話ですがね、デックスさん、貴方のクローゼットに有った箱の中から血の付いたベストが見つかりましたよ。どうやらベストを始末する時間は無かった様ですな、しかも貴方をウイレムさんの殺害現場近くで見かけたと仰る紳士が見つかりましてね証言して下さいました。その紳士の証言したベストと、血の付いたベストが似ているとも。どうでしょう?何か言いたい事は有りますかな?」
「くそ〜〜〜〜〜アランが、全部アランが悪いんだ!」
「さてさて、全て話して頂きましょうか。」
次回なんとか住処は出来ました。