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愛してる

もうどれ位叩いているんだろう。

いい加減手が腫れて来て持ってるパイプも上がらなくなって来た

わたし、このまま違う国に連れて行かれてもう、ウイレムと逢えなくなるの?

最初の出会いは驚きと戸惑いと呆れ、変な出会い方だったよね

いつからだろうウイレムを好きになったのは……

余りにも自然すぎて思い出す事も出来ない。でも、彼の優しい薄紫色の瞳は私の心の支えになっていたなと思う いつも困った時はウイレムを探してた。

そういつも彼は私を助けてくれた優しい幽霊だったよね

だからこそ思うの 今回だってきっとウイレムは助けに来てくれるって

笑顔で「ごめん待たせたね迎えに来たよ」ってきっと言ってくれるわ




「あかり〜〜〜〜、あかり〜〜〜どこに居るんだ!お願いだ返事してくれ」


「え?!ウイレム?……ウイレム〜〜私はここよ!地下の倉庫よ!」


ガン、ドン 「あかり?そこに居るのか?」

「ウイレム〜ウイレム〜うっうぇっ」

「あかり今開けるからな離れてろ良いな離れろよ」

「う、うん」


ガチャガチャ、バン


「あかり!無事で良かった!ごめんよ待たせたね迎えに来たよ」

私はウイレムに抱きつき頷き続けた(やっぱりウイレムは言ってくてた迎えに来たよって)

[あかり、良かった無事に俺の元に戻って来てくれて失わずに済んで本当に良かった]


コホン……「感激の再会中悪いけど兄さん、私達が居る事も忘れないでよね」

「あ、メアリー!メアリーも助けにきてくれたんだねうぅぅ」

「あかり良かった無事で探したんだよ」

「うんうん、ごめんね心配かけて」

「あかりのせいじゃ無いのはわかってる、アリスさんが全部告白したよ」

「ともあれ、無事で何よりでしたな」

「警部さん!実はもう一つ有るんです」


「はて?何が有るのでしょうか?」

「実は………」私はバイオレットちゃんの事を警部さんに伝えた。

「こ、これは……一体」

「ウイレム、警部さんに話しても良い?信じてもらえないかも知れないけれど」

「あぁ、俺はあかりの側に居るから誰が何を言っても俺はあかりの側に居る」

「うん、警部さん、メアリー私お二人に今まで隠していた事が有ります。信じて貰えないかも知れないけれどわたし……幽霊と話が出来るんです」

「は?」 「え?」


「警部、俺が一度死んでたのは勿論知ってますよね?あの時あかりに頼んで犯人を捕まえる手助けをお願いしたんです。俺ではもう、アランを助ける事は出来ないから、嫌がるあかりに無理やり手伝わせてしまいました」

「ウイレム………」

「良いんだよ、全ては俺が頼んだ事から始まったんだから

死んで彷徨って一所懸命色んな人に話しかけましたでも、誰も答えてくれなかった。そんな俺の声に唯一応えてくれたのがあかりでした。誰が信じなくても俺が居今ここで話してる事、それが事実です」


「兄さん、信じないなんて私言ってないよ。アランを助けてくれてありがとうあかりさん。わたしも信じるから」

「そうですな、ここに真実があるのですから私も信じましょう」

「ありがとうございます、みなさん」


「さて、それで何をあかり殿は伝えたいのですか?」

「はい、この子の名前はバイオレットちゃんです。この船の船長さんの娘さんだそうです。彼女はお父さんに会いたいとずっとここで待っていました。だから直ぐにでも会わせてあげたいんです。それとお父さんに伝えて欲しいと頼まれました。」

「なんと、可哀想にそうですか……すぐにお父さんを連れてくる様に言いましょう!」

そう言って警部さんは外に出て行った。


「あかり、ごめんよもっと早く来れたかもしれないのに」

「ううん、ウイレムが来てくれるって信じてた」


「あーお二人さん私が居る事をすぐに忘れるけど妹の前でキスだけは勘弁してよね」

「してねぇよ!」 「してないよ」

「ふふ、なら良いけど。だけど、あかりにそんな秘密があったなんて」

「言っても信じてもらえる事では無いもの、言う事でメアリーに嫌われたくも無かったし」

「馬鹿ねあかり、嫌う訳無いのに。それにあんな兄さん始めて見たもの」

「あんな兄さん?」

「おい!」

「良いじゃ無い、あんなに必死な兄さん始めて見たわ怖かったよいつもヘラヘラしてるのにね」


「う、うるさい!」

「ふふ、あかりさん、愛されてるんだねぇ、羨ましい」

「あぁもう、良いだろ?行くぞ」

「あ、待って…バイオレットちゃん、直ぐにお父さん来るからもう少しだけ待ってね」

『うん、ありがとうねお姉さん』



しばらくしてバイオレットちゃんのお父さんが駆けつけて………

「ヴィオ…あぁぁぁぁヴィオォォォォォ」

バイオレットちゃんのお父さんの慟哭が倉庫の中に木霊する

バイオレットちゃんはそんなお父さんの肩に頭を着けて『お父さん、泣かないでごめんね』とずっと囁いていた。

そんな姿が見れるのは今は私だけ。でもウイレムは私が泣き崩れない様に抱きしめてくれていた。


少しづつ嗚咽が治り始めた頃お父さんが私に掴みかかって来た

「何故だ!何故嘘をつく!娘を亡くした俺をからかってそんなに楽しいか!」

「そんな、違います…からかってなんて居ません私、私は」

「お辞めなさい!彼女のお陰で貴方の娘さんだとすぐにわかったのですよ。じゃ無ければ今頃はまだ調べている最中です!」

「あんたが、信じる信じないは勝手だ!でも、あかりは嘘は付いていない」

そう言いながらウイレムはお父さんから私を引き剥がし背に庇ってくれた


「信じてくれなくても良いです、ただバイオレットちゃんの言葉は伝えると約束しました だから、それだけはどうか聞いてください」


『お姉さんお父さんの事ごめんねいつもはあんな風に怒るお父さんじゃ無いのごめんね…ごめんなさい』

(いいの、お父さんとっても哀しいのよだから誰かにぶつけたいだけ。お姉さんなら大丈夫だからバイオレットちゃんがお父さんに伝えたい事お姉さんにおしえて)


『うん、あのねわたしお母さんが死んでも寂しく無かったよお父さんが私と一杯お話したり遊んでくれたし でもね、私が我儘だから死んじゃってごめんなさいって伝えてそれとね、私の部屋のベットの下に宝箱があるのそれをお父さんにあげるって伝えてください』

(うん、わかった伝えるよ)

『ありがとうお姉さん、あ!……お姉さんもう行くねバイバイ……バイバイ……』


そう言ったバイオレットちゃんは笑顔で光の粒に包まれて消えてしまった

私は嗚咽で詰まりそうな声を呑み込むとお父さんにバイオレットちゃんの最期の言葉を伝えて気を失った。

遠くでウイレムとメアリーの叫び声が響いてた



気がつくと病院のベッドに寝ていた。

何となく思い出した記憶のせいか涙が溢れ落ちてくる

ショックだった、人の死があんなに恐ろしいと感じたのは初めてで。

母が亡くなった時は顔を見せて貰えず遺品と部位のみ写した写真で母かもしれないと思っただけでまるで人事の様にも感じてた。


火葬場の時も最後のスイッチを押す段階でやっと母がと……手が震えもしかしたら起き上がるかも知れない生きてるかも知れないこれを押したら最後なんだと……怖かった

でも、今回は間近で人の死を見ていた その光景が今になってこんなにも私を苦しめてる 。

ウイレムの死は何処か夢の様でそこに居るのだからと深く考えもしなかった。


(こんな力要らない、もう嫌、お願い無くして)

[あかり、1人で悲しむなよ……あかりのその力のおかげで俺も、カレンさんも、バイオレットちゃんも助かったんだよ?今は辛いかも知れないけど俺が居るよ。もうあかり1人じゃ無いよ一緒に居る]

(ウイレム……)

[もう、朝方で面会出来なくてさ。でも、あかりが目を覚ました時に一人でいて欲しくなくて、絶対にあかりは泣いてるだろうと思うと側に居たくてさ……やっぱり泣いてたな。来て良かったよ]

(ウイレムわ、わたし)

[何も他の事は今は考えないで、俺の事だけ考えてて…こうして抱き締めてるからもう少しお休み あかり]


********** ********** ********** **********


あかりはきっと目を覚ましたら泣くんだろうな 優しい子だから

後悔するんだろうな、あんな力要らなかったってさ


して欲しくないな。あの力のお陰で俺達は出逢えたんだから

そう思ったら俺は身体を抜け出してあかりの居る病院に向かってた。


やっぱり泣いてる あかり 一人で泣くなよ 守りたいこの子をずっと側で

もう、俺の居ないところで泣いて欲しくない その涙を拭うのは俺だけだ

あかり、愛してる あの時君を失うかも知れないと思ったら俺はどうなっちゃうんだろうって考えるのも怖かったよ


あかり、愛してる 心から愛してるんだ………










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