最高の女性です
あれから2日経ちザックさんから急ぎだと馬車のお迎えが来た。
屋敷に着くなりホールから引きずられる様にザックさんの私室に連れて行かれた
「あかり、急に金が必要に成ったのだがローバート邸に行ったら金はあかりに渡したと言われた。直ぐに愛の証として渡してくれないか?{早く寄越せ急いでるんだ}」
「申し上げましたよね?愛の重さは金額になると。今の金額では私の愛に足りません なので、まだお渡しする事は出来ません」
「な、何を言っているんだ?合計でも良いではないか金額なのだろう?{つべこべ言わずさっさと寄越せよ}」
「一度にお渡しできる額が大きければ大きいほど愛の価値は大きくなるのです、私のザック様に対する思いがあの程度だと思われては美しく聡明なザック様の御顔に泥を塗ってしまう様では無いですか。私はそんな事は出来ません」
(自分で言ってて恥ずかしいわ)
「そ、そんなに思ってくれているのは有り難いのだが今どうしても纏まった額のお金が必要なのだよ。ある男に騙されてお金を奪われたのだ早くなんとかして借りた者に返さなければ私は………私を愛していると言うのならどうか助けて欲しい{忌々しいはやく寄越せよ何とかして父上にバレる前に}」
「わかりました ではせめて、一緒にその者の所に行き私達の愛の深さを見せつけてやりましょう」
「え?いや、大丈夫だ私一人で話さなければならないのだ」
「何故です?私はザック様に愛されてる者なのでしょう?ならばせめてこんなに愛され愛してると知らせなければ」
「う、うるさいさっさと渡せば良いのだ愛はその後だ、その後嫌という程愛してやるだからさっさと渡せ」
「わかりましたですが今持って来てはおりません。信用していない訳では有りませんが私と愛をまだ誓い合っていません。ですから借用という形でも良いですか?」
「あぁ、構わん借用書を用意しろと言うなら今直ぐにでも書くだから今日の内に用意出来るか?出来るとしたら如何程か?」
「そうですね、3000万G程で足りますか?もっと必要でしょうか?」
(言うだけならいくらでも出せるわよ)
「な、なんと、直ぐにそれ程用意出来るのか?そ、それでは取り敢えずその金額を渡して欲しい{なんと素晴らしい、この女を手放す事など出来ないなこの女さえ居れば金に困る事は無いだろう}」
「わかりました、借用書を書いてくださいませ。いずれは貴方のお金に成るとしても今はまだ私の納得した金額では無いのですから貸してるだけとしておきたいです」
「あぁ、わかったいずれは俺も君だけの者となる事を約束しよう」
「まぁ、嬉しいです ザック様それではその事も書き添えて下さったらもっとお渡ししますわ」
「なんと、本当か!わかった。愛しているぞ あかり」
「はい、嬉しいですザック様(うわぁ、言いたく無いセリフだよぉ)」
借用書には金額と生涯私だけを愛し妻にすると書いてあった。
(そこまで望んでは居ないけどなんで書いた?)
そして私達はアーデンハイム家の馬車に乗りポラリス洋品店に向かった
そこに何が待ち構えているのかも知らずに満面の笑顔で私に愛を囁いているザックさんと共に
洋品店に着きドアを開けるとそこには………
ウイレム、サーシャ コンビ&マーガレット、ブラニック コンビが。
「な、何故ここに父上にサーシャまで……」
「え?私がお呼びしたからですよ?ちょうど良かったでしょ?お父様も居る事ですし妻にすると言ってくれた事お話ししましょう」
「な、何故だ!何を考えているんだ」
「事の真相をはっきりさせる為に決まってるじゃないですか。」
「ザック様、これは一体どう言う事ですの?ザック様は私を愛していると後に妻にするからと仰って下さいましたよね?」
「まぁ、奇遇ですね!ザックさんは私の事も誰よりも愛してると言いましたよ。ここに証拠の書面も有りますし」
「何ですって!そんな事はあり得ませんわ。お金さえ返せれば妻にするとだから何とかしてくれと仰ったから私はこんな芝居までしたのに……」
「ザック、これは一体どう言う事だ?説明しなさい」
「ち、父上、これは何かの陰謀です、私を落としいれようと仮作したのです」
「ほう、では一体誰が何の為にだ?答えなさい」
「そ、それは……」
「もう答えずとも良い、全ての事はマーガレット様に聞いている。情け無い事だ。アーデンハイム家の者ともあろうお前がまるで詐欺師の様な事をしでかし、サーシャ嬢やあかり嬢を巻き込み金の無心をするなど。
お前が借りた金の事もこうなる前から調べては居た遅過ぎたがな。わからぬ筈が有るまい、仮にもまだ私は当主なのだからな。」
「こんな筈では無かったんだ、この女が、こいつが、ちきしょう!」
ザックさんがわたしに掴みかかって来た。
ズザッ ドン!
「何をするんですか!あかりに何かしたら俺は貴方を許さない」
ウイレムが咄嗟に私を庇いザックさんを投げ飛ばした。
「あかり、大丈夫か?」
「うん、ありがとうウイレム」
「ザック様、嘘ですよね?私を騙していたなんて皆んなが私達を陥れようとしてるだけなんですよね?」
「ふん、お前程度の女が俺とだなどと烏滸がましいにも程がある。俺ほどの男がそこいらの女を本気で相手にする訳が無いだろう!」
「そんな、嘘です………それでは私がして来た事は一体………」
「申し訳ないサーシャ嬢、息子がしでかした事は謝った位で済む事では無いでしょう。コレにはそれ相当の裁きをちゃんと受けさせます爵位も継がせる事は有りません。」
「な、父上私は長男です、この程度の事は誰もがしている事私にそこ迄の罪は無いはず」
「情け無い、お前はまだそんな事を言っているのか!」
大きな音と共にザックさんが飛んだ
「た、たとえ父上でも顔を殴るなんて、この俺の顔を殴るなんて」
「これから幾らでも殴られるだろう内の一回だ!お前は牢の中で己のした事を反省しろ。お前のせいで泣いてる方々に私はこれから謝りに行かねばならんそして、今回の事で責任を取りお前の弟のロバートに代を譲り引退する」
「ブラニック様、何も急にその様な」
「いえ、マーガレット様私は息子達に愛すると言う事をしっかり伝え切れなかったこれは、私の罪でも有ります。たとえこの様な罪を犯しても私にとっては可愛い息子なのです 父として出来る事をしザックが己の罪を理解出来るように一緒に努めて参ります」
そうしてザックさんとサーシャさんは憲兵さん達に連れられて行った。証拠となる書面も一緒に
ブラニック様は何度も何度も頭を下げて迷惑かけて済まないと謝ってくれていた。
マーガレット様にお礼を言い後日又お伺いしますと言うと
「構わないのよ、お役に立てて嬉しかったわ。これでナーゼ様のご心痛も無くなると思えば安いものよ」と微笑みながら帰られた
そう、全てマーガレット様の邸に伺った時に話し合って決めていた事
ウイレムにも夜逢いに来てくれた時に話し決めていた
その際ウイレムからは絶対にザックには触れさせるなとの約束と共にね
危なかったけれど。
「父さん、メアリー心配かけてごめんやっと戻って来れたよ。だからちゃんと紹介させて欲しいんだ俺が今最高に愛しいと思ってる女性だよ」
「お帰り、ウイレムよく帰って来たな」
「お兄ちゃん、心配してたんだからね!本当に心配してたんだからね」
「あぁ、ただいま。今まであかりの事有難う!そしてこれからも頼む」
「これからもよろしくお願いします」
わたしとウイレムは2人してお父さんと、メアリーに頭を下げた
まだしなければいけない事は有るけれど温もりのあるウイレムと居れる嬉しさを今は感じていよう