それぞれの時間
この道はウイレムと始めて出会った道
あの時は無理矢理引きずられる様に歩いたっけ
いつでも強引で話を聞かなくて振り回されて……考えると何処が良いのかな?
でも、彼のお陰でこの世界でも家族と言ってくれる人達が出来たし悩み悲しむ事も無かった。
「そうだったのね、だから私を占う事が出来なかったのね!本当に酷い人ねそうやって影で笑って居たのでしょう?」
「??」
振り返るとそこにうつむき震えながら近づいて来るアリスさんがいた。
「キレフの浮気相手が貴女だなんて飛んだ茶番だったわ、わたしから彼を奪う女は許さない覚えておいて!彼は 彼は」
そう言うとアリスさんは私の頬を思いっきり叩き 来た道を引き返していった
(こうなるかもしれないって何となく思って居たけど……これだけで済む気がしないなでも、漫画ほど上手く事が運ぶとも限らないよね。今度は何がおこるの?)
唖然としながら彼女を見送り家に着くとお帰りとメアリーが迎えてくれたその顔が驚きに変わる
「あかり!一体どうしたの?頬が赤く腫れてるよ」
わたしはメアリーに今日あった出来事を話す
キレフさんの事、アリスさんの事を
メアリーは冷やしたタオルを私の頬に当てながら
「ねぇあかり、それって絶対危ないよ!アリスさんとデックスって考え方似てるよね何するかわからないよ憲兵所の所長さんに相談した方が良いよ!一緒に行くから相談してみよう?ね?」
「メアリー、大丈夫だから 心配してくれてありがとう。それよりお父さんはまた病院?」
「えぇ、兄さんが目を覚ました時に誰も側に居ないのは寂しいだろうからと交替でいる事にしたし」
「うん、わかった一昨日はメアリーだったし今日は私がお父さんと変わるね」
「あかり?疲れてない?私は大丈夫よ。あかりは少し休んだ方が良いんじゃ無い?」
「ううん、少しウイレムの側に居たいの」
「そっか、うん わかった。じゃあ今日はあかりに兄さん任すね」
「うん」
私は着替えてから病院へ向かった
ここにウイレムは居なかった、だとしたら後私がウイレムの事で知ってる行きそうな場所は病院だから
コンコン
「おう、入れ」 「お父さん、交代しにきました」
「お?あかり メアリーじゃ無かったのか?ん?どうしたその顔」
「メアリーが来ると言ってたんですけど代わって貰いました。あ〜転んじゃいました あはは」
「そうか、気をつけろよ まぁ、こいつもその方が嬉しいか えーと何だっけ?あの女性」
「?サーシャさんですか?」
「あぁ、そうそう それだ 何だかんだ言ってたがアレっきり来やしない。本気で惚れてるとは見えなかったしな 何が目的なんだか……… あかり、それじゃあ済まないけど休ませて貰うな何かあったら連絡くれ 頼むな」
「はい、ゆっくり休んできて下さいね」
「おぉ、ありがとうな あかりも余り思い詰めるなよ」
「はい、大丈夫です」
(……………ウイレム)
わたしはウイレムの髪に触れそっと前髪を横に流した
(ねぇウイレム ここにも居ないの?何処に行っちゃったの?私こんなに弱くは無かったのにな雨のせいねきっと)
*** *** *** *** ***
あんな事言っちゃったけどどんな顔してあかりに 逢えば良いんだ?
言える訳ないよな〜本気で好きになったかもなんて今更だよな
確かにあの頃はサーシャの事好きだと思ってた でも、こんなに胸が痛くなる思いをした事なかった。
サーシャに他の男達が言い寄っても腹はたったけど痛くは無かった
サーシャみたいに綺麗で優しい子が彼女になってくれたら嬉しいとは思った、でも…………
さっきのあかり とキレフのあの距離は許せなかった凄く胸が痛んだ。
他の男が あかり に触れるのも声を掛けるのも…………これって嫉妬だよな
俺がいくら好きになっても側で守ることもましてや目の前であかりに何かあっても今の俺じゃただ見てる事しか出来ないんだ
そんな俺が あかりに 好きだなんて言ってどうするんだよ
困らせるだけじゃないか…………
俺ができる事、せめて あかりの為に あかりがいつも笑って居られるように
あかりがキレフを選んだのなら良かったなと言えるように 何か有ったなら笑って聞いてあげられるようにしないとな。 結構 辛いな。
*** *** *** *** *** ***
あれから半月ウイレムは未だに帰ってこないもしかして何も言わずに消えちゃったの?そんなの嫌お願い逢いたいウイレム………
身体だけ置いて何処に行っちゃったの?
あれからお父さん、メアリー、わたしが交代でウイレムを見ることになった。
いつのまにか寝てしまってたんだ。
ウイレムが居なくて良かったこんなところ見られたら恥ずかしかったよ
私は寝ながらしっかりとウイレムの手を握って居たらしい。
お腹すいたでしょとメアリーがお弁当を持ってきて起こされるまで
身体は此処にあるのに心は此処に無い何て歌の文句じゃ有るまいし………
メアリーがせっかく作って来てくれたお弁当なのに
ウイレム、話したい 側に居て欲しい
お弁当を食べながら涙がポロポロ溢れて来るのが止まらないや
メアリーいつもよりお弁当しょっぱいね
*** *** *** *** *** ***
兄さんが殺されたと聞いた時そんな馬鹿なと思ったよ
私がアランと付き合うようになった時良かったなと言いながらすっごく揶揄った兄さんに、そんなだから彼女出来ないのねって言い返す私
「ば〜か、俺は最上級の女を彼女にするんだ今にメアリーもビックリするような良い女連れて来るからな」って
兄さん、あかりさんは良い人ね兄さんが言った通り だからさ、早く紹介ちゃんとしてよ兄さんの口からさ
死んだと思ってた兄さんが生き返ったなら、後一踏ん張りして目を覚ましてよ
このままじゃあかりさん 誰かに取られちゃうよ。
せっかく見つけた彼女でしょ?最上級の女性なんでしょ?
私のお姉さんになるかもしれないんでしょ?てかね、兄さんが結婚しないと姉さんになってもらえないんだからね!
この馬鹿兄貴最後までちゃんとしなさいよ 姉さんになるかも知れない人泣かすな!
私だけアランと幸せになんて なれないじゃ無い妹まで不幸にするな!
だから雨の日って嫌いなのよこんな風に湿っぽくなるんだもん あー今日のお弁当しょっぱ過ぎ 失敗だわ
雨の日は優しいようで心の中をかき回す厄介な日
その日はみんなセンチメンタルになってしまう 自分の心を見つめ直す優しい時間をくれる日
優しさに引きずられてこれ以上落ち込まないように自分を立て直す日