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漫画描きの少女

私に出来る事は、一体なんだろう………う〜ん。

ちょっと市場調査してみようかな。 今どんな絵が有るのか、受けるのか材質はどんな感じなのか


「よし!あれもこれもって考えても仕方ないし出来ることから少しづつまずは行動あるのみだよね。サーシャさんの方はウイレムの報告待ちだし」

わたしは、商店街に向かった 街に有る唯一の画材店レンガ作りでダークグリーンの看板が入り口の上に飾ってあるその店に入ってみるとこの街の絵の感じが何となく掴めて来る。


絵の具らしい物が見当たらない事とキャンバスも無い

有るのは色鉛筆の様な物と元の世界で言う画用紙の様な物。


インクは有るけど色は黒のみで、有る意味画材店と言うより文房具店と言った感じの方が近いのかも知れない。

ハサミや糊、クリップや画板など簡単な文房具が並んでいる中で目を引いたのは色鉛筆の様な物の芯の色の種類が多い事


どうやらこれはペンみたいなものに芯を付け替えながら描くって感じかな?沢山の芯の横にはそれをはめて使う為のペンの様な物が有った。

(この色の多さは凄いな………見てるだけでも何だか楽しくなる)

そんな事を考えながら見ていると後ろから

「何かお探しですか?」と声をかけられた。

振り返りその人を見て 私は思わず「え!」


「あれ?何処かでお会いした様な気がするのですけど………もしかしてポラリス洋品店の方かな?」

(これは誤魔化せないよね、絶対覚えてます感出してるもの)

「はい、そうです。貴方は先日来店されたアリスさんのお連れの方ですよね?」

「あぁ、やっぱり(ニコリ)その節は大変失礼しました。私の名前は キレフ・ハイデン このハイデン画材店の息子で まぁ、父が今療養中なので代わりに店主もしております。」

(なんか、こう言うのってヤバイ事が起こる前兆の出会いって気がする…漫画とかで良くあるパターン………考えすぎかなぁ。)


「えっと、あかり と言います。その節はどうも…………。」

「ところで何かお探しでしたか?」

「あ〜、絵を描こうかと思ったんですけどどんな画材が有るのか見に来たんです。買うかどうかはまだ決めてませんけど。」

「成る程、だとしたら此方など使いやすく描きやすいしお値段も手頃だと思いますよ」

そう言って案内された先で見たのはやはり色鉛筆の様な物の12色セットだった。


(この世界では色鉛筆?しか無いのかな?)

「あの、変な事聞く様ですけどこのタイプの物で皆さん絵を描かれるのでしょうか?」

キレフさんがコテンと頭を傾げて「と、言いますと 他に何か有るのでしょうか?現在私どもの店で扱っているのはこのタイプの画材だけなのですが…そう言えばあかりさんは私どもと少し違う感じがしますね。他の国からいらっしゃったのでしょうか?」

「えぇまぁ、違う国ですね(世界そのものが違うけどね)」


「成る程、そちらの国では違う画材が有るのですね是非取り寄せて見たいですね!あかりさんは、絵心はお有りのように見受けられますがどの様な絵をお描きに成るのですか?」

(漫画とは流石に言えないね)

私は近くにあった試し書き用の紙に猫の絵を描いてみせた。すると………


「こ、これは…………何て素晴らしいんだ!まるで今にも動き出しそうな愛らしい絵だ!サラサラっと書いただけの様なのに躍動感が有る」

(う〜ん、ただ猫が顔を洗ってる感じの絵を描いたのだけどそこまで褒められるなんてなんだか恥ずかしいな。)


「そうだ あかりさん、この用紙に何か絵を描いて貰えませんか?できればそう…このニッペで色も付けて貰えると嬉しいのですが」

「ニッペ?」

「はい、ニッペです。ん?ニッペを知らない?」 「えぇ…」

「これは失礼致しましたニッペとは、この芯筆の事ですよ。このニッペにここに有る芯を付け替えながら塗っていくんです。どの色を使って頂いても結構ですので何か絵を描いて頂けないでしょうか?」

そう言って画用紙の様な30cm程の紙と80色は有りそうな色芯とニッペを渡された。


「何でも構わないのですか?」

「えぇ、構いませんよ。あの猫の素晴らしさで他の絵も見てみたいのです」

(私なんかの絵でこんなに感激して貰えるなんてどうなってるんだろう?でも、これはいい機会かも!キレフさんともっと話せれば色々聞けるかも知れないよね)


わたしは画材道具と画板を手に取り表に出るとこのハイデン画材店の絵を描きニッペで色を付けていった。少し絵を指先でボカしてみたり遠近感を使ったりて久し振りに絵を描くのが楽しくて仕方なかった。

色が豊富な事も有り思ったより没頭して描いていたらしい。気がつくと辺りは夕闇に成っていた。


私は出来上がった絵をキレフさんに渡し、もう遅いからこれで失礼すると告げ洋品店に急いで帰ったのだけど 心配していたメアリーとお父さんにしこたま怒られたのです。



そしてその次の日の朝、ドンドンドンと入り口を叩く音がして

慌ててお父さんが出て見るとそこには、私の描いた絵を手にしたキレフさんと1人の恰幅の良い御老人が立っていた。

「早朝に申し訳ない、ですがどうしても直ぐにお逢いし話がしたいと思いましてご迷惑と思いながらもこうして来たわけです。私はハイデン画材店のキレフ、此方の紳士はピアソン絵画店の主人のピアソンさんです。申し訳ないですが話を聞いて頂いてもよろしいでしょうか?」

「ハァ、どうぞお入りください。」


そうしてキレフさんとピアソンさんがテーブルに着くと

「あかりさん、昨日描いて頂いた絵を昨夜此方のピアソンさんに見て頂いたところどうしても貴方に逢って話しがしたいと今朝来られましてね、その足でこうして来てしまったわけです。早朝から本当に申し訳有りません」

「あ、いえ、でも何かいけない事有りましたか?有ったのならすみません」

「とんでもない、その逆ですよ!此方のピアソンさんがあかりさんの描かれた絵を見られて是非ともお願いが有ると言うのでお連れしたのです。」


「??おねがいですか?」

「そうなのです、貴方の描かれた絵をキレフ君に見せて貰いましてね 貴方にしか頼めないと思ったのですよ。どうかお聞き届け願いたい」

そう言ってピアソンさんが頭を下げた。


「!え、そんな辞めてください頭を上げてください。」

「キレフ君の話だと異国の方だそうで、我が国ではここまで繊細で精密で躍動感がある素晴らしい絵を描ける方は今迄知り得ません色使いにしても見事の一言です。そこでどうか私どもを助けると思ってフルナーゼ王女様の絵を描いていただけないでしょうか?」


「!え〜〜〜っ王女様の絵?、む、無理でしょう!わたしにそんな大役務まるわけ無いです!無理、むりです!私みたいな若輩者にそんな大役出来ません」(何言ってんの?私が描いてたのは漫画だよ?美術絵画ほどの技術有る訳無いじゃない!下手したら斬首ものじゃ無いの?ダメダメダメ!絶対にダメ!)


「凄いじゃない あかり!やっぱり凄い画家さんなんだと思ってたよ!兄さん本当に凄い人と付き合ってたのね!」

(は?何言ってんのメアリー!あれはウイレムがそう言えと言ったからであって、背景は描けても人物はべつものだよ〜人物苦手なのよ〜!!)

「辞めて〜〜〜!追い込まないで!無理な物は無理です!」

(あ〜どうしてこう成った?私の未来はギロチン斬首刑で人生終わるの?そんなのいや〜)







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