俺、異世界に立つ!
俺は小さい頃から異世界モノの物語が大好きだった。
異世界に飛ばされて、女神に必殺技や物凄い武器を貰って魔王に支配された世界に行って、かわいいヒロインがいてそのヒロインや世界を助けるために旅をして魔王を倒しハッピーエンド。
そんなヒーローに憧れた。
だからだろうか、小さな頃から自分で異世界物語を書いて遊ぶのが大好きだった。
そんな、異世界物語大好き人間な俺の名前は佐藤蓮二。
しがないただのフリーター兼小説家を目指している若者だ。
俺は異世界モノの小説しか書けないのだか異世界ものは昨今の小説やアニメでとても人気なのでネタが出尽くしている。
そのせいもあり、どんな物語を書いても二番煎じで全く売れない。
小説家になろうと決意し上京してくるときには、親からは「売れるかどうかもわからない小説家なんてやめて家の農業を継げ!」なんて言われて。
初めは理解してくれない親に反抗して、「売れるまでぜってえ帰らねえ!」なんて宣言して飛び出してきてアルバイトをしながら小説を書いていこうとしたけどアルバイトが忙しく小説を書く時間もお金もない。
物語の序盤だけ書いてから1年も経ったが勇者が魔王討伐を決意してからなにも書いてない。
そんな現状を見てもう夢を見るのはやめようと思い実家に帰ることにした。
親に実家に帰ることを伝えるために電話した。
正直、怒鳴られると思っていたが親は快く俺を受け入れてくれて俺は実家に帰ることになった。
「やっべ、新幹線の時間に遅れる!」
家を出るにあたり色々と昔のことを思い出していたら出発予定時刻を15分も過ぎてしまったため、俺は焦って家を出た。
今まで世話になった住居に別れを告げ新たな人生の一歩を歩みだすはずだった。
いまだに後悔している。急いで飛び出すのではなかったと、きちんと確認をしておくべきだったと。
そんなことを考えてももう遅い。車のブレーキ音が聞こえ全身に痛みが走る。
「大丈夫ですか…」車の運転手であろう人の声を聞きながら俺の意識は落ちていった。
次に俺が目を覚ましたときに眼前に広がったのは綺麗な緑色だった。
「…どこだ…ここ?いつのまに森に入ったんだ…?」
一面に広がる木々や、木漏れ日や、鳥のさえずりが聞こえてきた。
これは考えるまでもなく森であろう…
にしてもここはどこなんだ。
俺は車にひかれたはずだ。
もしかして車にひかれて勢いで森までとんできたぁーとか…あるわけない。
第1体のどこにも痛みがない。
自分の身の回りに起こっていることを確かめるために。
歩いていけばそのうち街に着くだろうと安易に考え俺は森を降り始めた。
「はぁ…はぁ…どうなってんだよ…森から出られねぇ」
俺の考えとは違い全然森から出られなかった
お腹も減ってきて足も疲れてきた。
おかしい、さっきからずっとおりてんのにどうなってんだよ…
森も暗くなってきてだんだん焦ってきた。
もしかしてこのまま遭難しちゃうのか?
車にひかれてその上遭難とか笑えねえよ…
どうしたらいいんだ?
とりあえず止まるのはダメだ。こんだけ歩いてきたんだもうすこしもう少しで森から出れるんだ
そんな俺の考えとは裏腹にどんどん暗くなる
焦りが俺の中で大きくなってきて気がついたら本気で走り出していた。
走っても走っても森から出ることができない。
そのうち、森が明るくなってきた。だか全然街が見えない。
俺は疲れ果ててその場に倒れ込んでしまった。
(ここで死ぬのか…動物に食われちまうのか…?でも、もう力が出ねぇ…)
意識が落ちそうになったその時、
「大丈夫ですか?!どうされたんですか!!」
綺麗な声が聞こえてきた。
意識が落ちそうになりながら薄目を開けると綺麗な金髪、桃色の目をしているとても綺麗な女の人だった…
俺は意識がなくなりそうになりながらもパクパクと口を動かしたが声が出ないだが、人と出会った安堵からか意識が落ちていった。
読んでいただきありがとうございます。