小さくても繋り
しばらくして、落ち着いてきたサラと話してみて、分かったことだけど、やっぱりサラはこの年齢にしては頭がいい。知識もそこそこあるようだ。
ゲームではあまり語られていなかったけど、おそらくラルフは、兄上だけではなく、婚約者のサラにも劣等感をもっていただろう。
それにしても、こんなに聡明なサラが嫉妬するとあそこまで幼稚な行動をとるなんて・・・恋って人を変えるんだね。
まあ、かくいう僕も、もはやゲームとは別人なんだけどね。
兄上やサラに劣等感なんてない。むしろ、尊敬すら覚えるし、僕も頑張ろうと思える。
それに、こんなに可愛い婚約者に劣等感を抱いて嫉妬とかあり得ない。
むしろ、僕の嫁は凄いだろ!って自慢しますよ、ええ。
「ラルフ様は、普段はどう過ごしていらっしゃいますの?」
そんなことを考えていたらサラから質問された。
どうって・・・
「そうだね・・・なるべく、勉強や剣術、魔法とかの訓練を行って、あとは、サラについて考えてるかな?」
「わ、わたくしですか?」
「うん。サラは今何してるのかなーとか、サラと会いたいなーとか、集中してないと、そんなことばかりだよ。やっぱり、恋は人を変えるんだねー。」
「こ、こ、恋で・・!」
あら?サラがフリーズしてしまった。
何か変なこと・・・いや、そうだよね。サラは初なんだし、これくらいでも動揺するよね。
「うん。サラは僕をみて、何か感じたりしない?僕はサラのことが好きすぎて感情が抑えきれないくらいだけど。」
そう言うと、サラは顔をまたしても真っ赤にして目線を忙しなく動かして、最後に潤んだ瞳でこちらを見てきた。
「あ、あの・・・わ、わたくしもたぶ・・・ラルフさまのことが・・・す、すすす、好きでしゅ・・・」
緊張のせいかうまく回っていない呂律で言葉を繋げてくれるサラ。
僕はそのサラをみて、我慢ができずに、思わず・・・
「あ、あの・・・らる・・・ん・・・」
サラの唇に軽くキスをしてしまった。
「え、え、え、え、い、いいいいまの・・・」
「僕の気持ちだよ。ありがとうサラ。僕も君が大好き・・・いや、愛してるよ。サラ。」
少し恥ずかしいが頬を染めてしまいながらもなんとか微笑んでみた。
すると、サラは、ぼふん!という効果音が聞こえるくらいにさらに真っ赤になり、でも、潤んだ瞳をぼーっとこちらに向けてきた。
・・・ヤバイわぁ・・・あれはヤバイ。
もし、僕がお年頃だったら、迷わず押し倒しているレベルだわ・・・・えっ?サラって僕と同い年だよね?なのになんで、そんなに色気があるの?
まだ幼女に近いのに何故?
僕はロリコンではないはずなのに・・・好きな人だからかな?
ちなみに、そんな騒ぎを僕の従者や、公爵家の使用人さんたちは温く見守ってくれていた。
視界の端に公爵ふじ・・・お義母様の姿が見えて、僕と視線があうと口パクで「娘をよろしく」と言ってきて、サムズアップしたのをサラにみられて、お義母様の姿を捉えたサラがさらに恥ずかしそうにしたのは、いい思い出になりました。