お宅訪問準備
僕は、公爵家に訪問の先触れを出した。
とりあえず、1週間後に行くと伝えて、宰相である公爵にも、父上、母上にも許可を貰った。
本来、こちらからの訪問は警備などの都合であまりよろしくはないけど、最低限、週一くらいのペースで婚約者との仲を深めたいと言ったら大丈夫だった。
・・・まあ、それを言ったときの、父上の悟ったような表情と、母上の興奮したような様子はスルーしました。
さて、訪問を一週間後にした理由は、もちろん公爵家の都合を考えてというのもあるが、一番の理由は僕の基礎の部分をもう少しつくるためだ。
この一週間、僕は今まで以上に勉強と剣術、そして魔法の訓練に勤しんでいる。
今までも普通にやってはいたが、これまでよりさらに必死にやっている。
実は、協力者の一人にある噂をながして貰っているからでもある。
内容は「第二王子は婚約者であるアメリア公爵令嬢にベタ惚れ」というのと、「第二王子は婚約者が出来てから今まで以上に様々なことに取り組んでいる」というものが元だが、どこまで変わるかは分からない。
まあ、あくまで、僕とサラの関係を明白にするのと、僕のサラへの感情を表に向けるのがメインだが、これにはある程度の牽制も兼ねている。
「アメリア公爵令嬢に手を出すと第二王子が黙ってない。」これを幼い頃から常識にしておけば悪い虫も減るだろう。
という、思惑も若干ながらあります・・・。
さて、そんなこんなで必死に過ごしていたら、一週間が経った。
僕は、その日朝からいつも以上に身だしなみに気を付けて、準備をする。
普段も王族という関係から身だしなみにはそれなりに気を付けているが、やはり好きな人にはカッコよくみられたい。
・・・うん。5才がなに言ってんだよってツッコミはわかる。けど、仕方ないじゃん!お年頃なんだし!
幸いというか、僕の・・・ラルフの容姿は母上に似て幼いながらも美形なイケメンだ。
確か、ゲームのサラも僕の容姿は気に入っていたはずだし、こないだはじめて会ったときの感じだと戸惑ってはいたけど、嫌われてはいなさそうだし、頑張るしかない!
そんな意気込みを抱えて僕は、公爵家に向かう。
付き添いは、お馴染みの侍女ミリーと専属騎士のロベルト。あと、数名の侍女と近衛兵だ。
まあ、とはいえ、ぶっちゃけミリーとロベルトの二人で十分ではあったりする。
なにせ、ロベルトは剣術ではそうとうな腕前で、密かに「剣鬼」なんてあだ名があるくらい強いし、ミリーも実は相当な腕前を持っていて暗殺などもお手のもの。
・・・もちろん、本職は侍女ですよ。
と言った具合にほんとにこの二人で十分なのだ。
まあ、あくまで残りはお飾りのようなものだが、そんなことを言うと士気が下がるのでもちろん言わない。
「ラルフ様。そろそろ着きます。」
色々考えていると、ミリーがそう声をかけてきた。
「ああ。わかった。」
「頑張ってください!ラルフ様!」
「うん。ありがとう。ロベルト。」
力強くも優しく応援しているのは騎士のロベルト。ミリーの旦那なのだが、騎士っぽい外見のわりには中身は物凄く穏やか・・・というか、本物の紳士を形にしたような優男だ。
さて、そんなこんなで、僕は婚約者の家に到着した。