初めての感情(サラ)
「サラ?大丈夫かい?」
帰りの馬車でのこと、わたくしは先程の出来事に思いをはせていたところ、お父様に心配そうに聞かれました。
「大丈夫です・・・」
「そうかい?なんだか、ラルフ殿下と話した後から様子が変だけど、殿下と何かあったのかい?」
「なにか・・・」
あった。色々ありました。
わたくしは先程の庭園での出来事とラルフ様の顔を思いだし、途端に顔が赤くなってしまいます。
「あなた。デリケートな問題なのですから。あまり触れてはダメよ。・・・それにしても、サラも大人になったわね。」
「やっぱり、そうなのか?お父さんはなんだか寂しいぞ・・・」
「?どうしたのですか?」
なんだか、寂しそうなお父様と逆に嬉しそうなお母様の様子に困惑してしまいます。
すると、二人は顔を見合わせた後に優しくこちらをみて問いかけてきます。
「サラ。殿下とはうまくやれそうか?」
「サラ。あなたは殿下のことを考えるとどうなりますか?」
お父様とお母様からのそれぞれの質問にわたくしは戸惑ってしまいます。
ラルフ様とは、今日はじめてお会いしました。
王妃様に似て凄く綺麗でカッコいい方で驚きましたが、何よりそのあとのラルフ様の行動に、言葉に・・・すべてに困惑してしまいました。
ラルフ様は政略結婚でもわたくしを・・・た、大切にしてくれると言ってくれて・・・それに、く・・・くくく、口づけを手の甲にしてくれて・・・
初めての感情に戸惑ってしまいます。
前に、お姉様に恋愛感情というものを教えてもらったことがありますが、今わたくしがラルフ様に感じてるのに近い・・・いえ、それ以上の気持ちがわいてくるようです。
つまり、わたくしはラルフ様のことが・・・
そこまで考えて顔が真っ赤になってしまいます。
それをみたお父様とお母様は満足そうに頬笑みます。
「まあ、仲良くやりなさい。殿下のあの様子だと、きっとお前を幸せにしてくれる。」
「そうね。頑張りなさい。サラ。」
「は、はい・・・」
やることはいっぱいありますが、わたくしはラルフ様のために頑張ります。
ラルフ様の隣に立てるように。