最初の誓い
サラ・アメリア公爵令嬢。
僕の金色の髪とは反対の白銀の長い髪と、幼いながらも整った容姿。
少しきついように見える目付きだが、心根は優しいとの話。
この国の宰相たるアメリア公爵の娘で、アメリア公爵家の次女。
家族構成は、父、母、長男の兄、長女の姉、次男の弟と、生まれたばりの三女の妹の7人家族。
つまり、家を継ぐものはすでにいるので、僕のところに嫁入りしてもまったく問題がないということだ。
「あの・・・殿下?」
彼女の笑顔に見惚れてそんな事前情報を思い出していたら、彼女が不安そうにこちらを見ていた。
「あ、ああ。すまない。見蕩れてしまって・・・。改めて、スウェーデン王国第ニ王子のラルフ・スウェーデンと申します。」
「み、見惚れたって・・・」
「あらあら、娘は殿下のお気に召したようですね。」
僕の台詞に照れるサラとそれを見て微笑ましそうにしている公爵夫人。
ちなみに、公爵と父上は驚いた表情を、母上はどこか面白そうにこちらをみていた。
「ああ。こんなに美しい婚約者だとは思ってなかったよ・・・よければ、後で二人の時間を貰ってもよろしいでしょうか?父上?」
「あ、ああ・・・かまないよ。よろしいかね、アメリア公爵?」
「ええ。サラも大丈夫だね?」
「は、はい・・・」
僕の台詞に照れたと思われるサラ。
僕は、それを微笑ましく思い思わず笑顔になってしまう。
すると、何かを思いついたのか母上が笑顔で手をあわせた。
「でしたら、ラルフ。今から庭園を案内してきたらどうかしら?」
「まあ!いいですわね!」
「そうですね。では、アメリア嬢をお借りします。アメリア嬢。こちらへ。」
僕は、そう言って、サラをエスコートして庭園へと向かう。
護衛が何人かついてくるのは想定通りだが、二人きりでないのがいささか残念だ。
ちなみに、サラは大人しくエスコートされてくれている。
というか、突然のことで混乱しているのかな?
そうこうしていると、庭園に着いた。
庭師の仕事の成果で綺麗に整備された庭園にサラは嬉しそうに笑った。
「素敵です・・・」
うっとりしたように頬笑む姿はまだ、幼いながらも美しく感じた。
「さて、改めて自己紹介していいかな?僕はラルフ・スウェーデン。ラルフと呼んでください。アメリア嬢。」
「わ、わたくしは、サラ・アメリアと申します。わたくしも、サラとお呼びください。ラルフ殿下。」
緊張しているのか固い挨拶だが、まあ、じきに慣れるかな?それよりも・・・
「殿下はいらないよ。呼びすてに・・・は無理でもせめて様とかのほうがいいな。」
「で、では・・ラルフ・・・さま・・・。」
「うん。ありがとう。サラ。」
僕がそう言って頬笑むと、サラは顔を真っ赤にして俯いた。
照れたのかな?可愛いなー。
ふむ、少しいたずらでもするかな・・・
「サラ。」
「は、はい・・・えっ・・・」
僕はサラの方に近づくとサラを見上げるようにかがんでサラの手をとり、そのてに口づけを落とした。
「ら、ららら、らるふしゃま・・・!」
「サラ。僕と君は国が決めた婚約だ。でも、僕は本気で君に恋をしてしまった。だから・・・」
僕はサラの瞳をのぞきこみ、笑顔で言った。
「これから、よろしくね。僕のお姫様。」
ぼふん!そんな擬音が聞こえてきそうなほどに赤くなるサラの顔。
やりすぎたかな?
てか、よくよく考えると、5才がこんなことしてもあんまりかっこよくない気もするけど、サラの反応を見てると大丈夫そうだな。
サラはしばらく視線をさまよわせたあとに、こちらに恥ずかしそうに笑みを浮かべた。
「こ、こちらこしょ・・・・」
かんでしまうほどに動揺してるようだ。
でも・・・
「ありがとう。サラ。」
そんな感じで、サラとの初対面は終わった。
あまり長い時間話が出来なかったから、近いうちに会う約束を取り付けて、親の元に戻る。
戻ってから、サラの反応をみて、大人たちがニヤニヤとしていたが、スルーした。