物語の変移
さて・・・唐突だけど、乙女ゲームである「空に誓う永遠」の攻略キャラは全部で5人。
メインヒーローである、第二王子の僕、ラルフ・スウェーデンと、その取り巻きの3人・・・あとは、全員攻略後に解禁される所謂隠しルートのキャラ1人と、まあ、わりと王道で一人あたりのストーリーが長めの構成となっている。
僕、ラルフのストーリーは、基本的には兄上や婚約者であるサラに劣等感を抱いた僕と、そんな僕に優しく接するヒロインが徐々に仲良くなっていき、それを邪魔する悪役令嬢のサラを最後に成敗してハッピーエンド・・・というのが大筋の流れだ。
ハッキリ言おう。こんなストーリーは間違っている。
王道で、ゲームとしては面白いのだろうが・・・それはあくまでサラのことを知らなければの話だ。
サラのことを知った今となっては僕はこのストーリーにかなりの不満を感じる。
もちろん、ゲームとして面白いのは認めるが・・・ぶっちゃけ、ラルフの子供っぽい劣等感とか性格が悪い思う。
それに、ヒロインも・・・好きになってしまったのは仕方ないが、婚約者がいる男に媚を売るとかあり得ないという気持ちが強い。
そりゃ、サラも確かに嫌がらせとかしたくなるよね。
結局のところ、ラルフ自身がきちんとサラと向き合っていれば解決できたであろうことなのに・・・まあ、それが出来ないからそんなストーリーになったのだろう。
さて・・・話が少しそれたが、僕のストーリーの大筋はラルフ自身の劣等感からくるものがほとんどなので・・・ぶっちゃけ、今の人格の僕なら問題はないだろう。
とはいえ、やはり心配なのは物語の強制力とかだが・・・これも実は少しは大丈夫じゃないかと思えてきた。
理由は先日のヒロインとの初遭遇イベントだ。
本来ならお忍びで来ていたはずの僕とヒロインがエンカウントしていたはずだが・・・結果的には女装することで会うことがなかったので、杞憂に終わると思う。
強制力とかがあるなら、絶対にあの時に何かしらのアクシデントとかで正体がバレて会ってるはずなので・・・あまり心配はしなくても大丈夫だろう。
とはいえ、万が一のために保険は掛けておくことにする。
あと、問題は他の攻略対象に関してだが・・・隠しキャラには現状では会えないのでこれはスルーで行く。
残りのメンバーは僕の側近候補である攻略対象・・・騎士団長の息子と、公爵家の息子と、魔術師の息子の3人が主になる。
ちなみに、魔術師というのは騎士団とは別の組織・・・まあ、魔法に特化した集団のことで、騎士団の魔法使いバージョンみたいなものだ。
この3人とは実はまだ知り合っていない。
会うのは明日・・・すなわち、僕の6才の誕生日のパーティーで初顔合わせとなる。
そこで仲良くなって、後に側近候補になるのだけど・・・正直、こればかりは会ってみて次第だろう。
騎士団長の息子以外の2人は、婚約者がいるので、その2人のストーリーの悪役令嬢はその婚約者になる。
つまりサラとは関係ないのでそこまでフォローするかは悩みどころだが・・・万が一のために接触はしておくべきだろう。
騎士団長の息子は・・・まあ、彼のストーリーは少し他の攻略対象とは別の系統というか・・・シナリオが何故か王道的な少年漫画みたいな、バトル展開になるので、関わるのは遠慮したい。
乙女ゲームなのにシナリオライターが、ふざけたのかそんなシナリオにしたらしいが・・・なんというか、面白くはあっても、かなり面倒な展開になるので、関わらないが吉だろう。
そして・・・・公に僕とサラの婚約を告げるのも明日の誕生日なのだ。