ララへの変身
「ら、ララ様・・・ですか?」
「他にどう見えるの?」
唖然とするロベルトに思わず憮然と返してしまうが・・・こればかりは仕方ない。
今の僕は地毛の金髪を隠して青色のカツラを被っているし、服も派手すぎない落ち着いた町娘風のスタイルに変身しているからロベルトの驚きもあながち間違いではない。
「やっぱり、ララ様は女装が似合いますね!」
「ミリー楽しみ過ぎだよ・・・」
「王妃様に似ているから絶対可愛いと思ってましたけど、想像以上です!本当はもっと派手なのにしたいのですが・・・」
残念そうに呟くミリーだけど・・・目的変わってない?
「それより、早く行こう。多分向こうは僕が女装して姿を変えれば気づかないはずだし・・・」
「確かに・・・これはララ様とはわかりませんね」
むしろこれで気づかれてたらヒロイン様が怖すぎる。
ガチで手の打ちようがなくなるのでこれでなんとかしたい。
「おっと・・・こちらに来ましたよ」
「見れば分かるよ・・・はぁ・・・早くサラへの手土産を買って帰ろう」
そう言いつつもなんとか慎重に・・・ヒロインに気取られないように移動を開始する。
幸いにも先程からヒロインとエンカウントしても、こちらの顔を見られてないので、ミリーとロベルトが側にいても問題はないし、相手が記憶持ちでも、ミリーとロベルトのことは知らないはずなので女装はある意味正解なのだろう。
・・・・人として何かを間違えた気はするが、サラへのお土産のために少しだけ我慢する。
少しづつヒロインが近づいてくる・・・ばくばくと心臓がなり、嫌な汗が出て通り過ぎるのにえらい時間を要した気分になる・・・
そして運命の時・・・ヒロインはこちらには気づかずに普通に通り過ぎたのをみて僕は勝利を確信した。
しばらく様子を見るが・・・ヒロインはやはり僕を探しているようでキョロキョロしながら他の場所へと移動した。
それを見届けて思わずため息をついた。
「行ったか・・・」
「みたいですね・・・やはりララ様を探しているのでしょうか?」
「残念ながらそうみたいだね・・・」
「やはり、ララ様が出掛ける時はこの格好が一番いいんですよ!」
「ミリー・・・あんまり嬉しくないよ」
何やら僕の女装に並々ならぬ拘りがあるらしいミリーだが・・・うん。僕にはそんな趣味はないのでパスだ。
でも、ヒロインとのエンカウントを阻止できたので今回は助かったと言わざる得ないだろう。
結局、このあとでヒロインとは遭遇せずに無事にサラへのお土産を買えたので・・・結果的には良しだろう。
しかし・・・ヒロインは明らかに何かを・・・多分僕を探していたよな。
同じように記憶持ちなら面倒だが・・・パターンは読めるかもしれない。
ヒロインはイベントと同じように行動するなら・・・イベントを回避していけばとりあえず大丈夫だろうか?
あとは・・・取り巻き集団だけかな?
そんなことを考えて僕はため息をついた。