忘れてた襲撃
誕生日を2日後に控えた僕は、気晴らしとサラへの次回のおみあげを見るために密かにミリーとロベルトを伴って町へ出ていた。
この二人は今日は割りと一般的な庶民スタイルの服装なので、僕と一緒にいても親子くらいにしか見えないだろう。
そんなことを考えて歩いていると、目の前に何やら見覚えのある女の子がいた。
ピンクの髪という特徴的な外見と僕と同い年くらいの見た目。そして、そこそこ整った顔つき。
その女の子は忙しなくキョロキョロ視線を動かしてなにかを探しているようだ。
・・・なんだろ、凄い嫌な予感・・・。
「ララ様?どうかしましたか?」
ミリーが僕の様子に気づいてそう声をかけてくる。
ちなみに、ララは僕が外に出るときの偽名だ。
女の子みたいだけど、幸いにも僕はまだ子供だし、何より、母上に似た顔立なので、女の子にも見えるかもしれない。
それは、さておき・・・
「二人とも、少し迂回したいんだけど大丈夫?」
「安全な道なら大丈夫ですよ。」
「ごめん。頼む。」
僕の様子に困惑はしていたが、すぐに僕の手をひいて別の道を通る。
なんだか、あの女の子には関わってはまずい。そう本能的に感じた。
しかし。
「・・・・・・・・」
何故だ・・・!逃げた先にもいるんだけど!?
「・・・・ごめん、他の道でも大丈夫?」
「・・・あの少女ですか?」
どうやら、僕の見つめていた先にいたピンク髪の女の子を見つけたらしい、ミリー。
僕は静かに頷く。
「偶然ならいいけど、なんかさっきから目の前にずっといてさ・・・」
「なるほど・・・ロベルト。行きましょう。」
「はい。」
僕たちはそう言って逆側の道へと向かう。
この時点でなんとなく予測は出来たけど・・・
「・・・・わぁ・・・またいる・・・。」
やはりというか、またもや、行く先にいた。
完全に狙ってるとしか思えない。
「ララ様の知りあいではないですよね?」
「少なくとも同い年の女の子であんな子はしらないなー。」
「ですよね・・・」
「とりあえず、さっきの場所まで戻って様子を見ましょう。」
そう言ってみんなできた道を戻る。
が・・・
「ねぇ・・・僕は若干の恐怖を感じるよ・・・これ偶然かな・・・」
「ここまで、来てそれはないでしょう。おそらく・・・」
「どこかの間者か、ストーカーですかね?」
おそらく、後者な気がする。
さっきから、気づいてはいたけど、あれ多分ヒロインだ。
で、よくよく思い出すと、今日ってもしかしなくても、何気に幼い頃のヒロインとの重要イベントの日だったんじゃね?
確か、6才の誕生日の2日前にお忍びできた、僕とお使いできたヒロインが偶然出会って仲良くなるイベントのはず。
あぁ・・・なんでこんな大事なこと忘れてたんだよ・・・よりにもよってイベント発生日に外出しちゃうとは・・・
とにかく、今ならまだ戻れば間に合うか?わざとかはわからないけど、こちらには気づいた様子はないし・・・
でも、サラへは何かプレゼント買いたいしな・・・
仕方ない・・・
「ミリー、あれは持ってる?」
「あれ・・・あぁはい!もちろんです!」
「・・・気は乗らないけど、着替えるよ・・・。ミリーお願い。」
「かしこまりました!では、そちらへ。」
僕とミリーはそう言って大きめの木箱の裏へと隠れると、静かに着替える。
ロベルトは少し離れて警戒している。
しばらくして、準備が整うとロベルトを呼んだ。
「じゃあ、行こうか。」
「あ、ララさ・・・・えっ・・!」
「うふふ・・・お似合いですよ、ララ様。」
「あんまり嬉しくないな・・・」
僕の格好に唖然とするロベルトと、嬉しそうなミリー。
僕は今、着替えをした。
女の子の格好に・・・