違和感からのスタート
知ってるはずなのに違和感のある光景。
5才になり、家庭教師から魔法について習っているときに、それは違和感から確信へと変わる。
僕の名前はラルフ・スウェーデン。この国・・・スウェーデン王国の第ニ王子だ。
王族とはいえ、家族仲は極めて良好。僕の兄上の第一王子とも王位の継承権争いなどもなく、穏やかに過ごしていた。
しかし、僕には昔から奇妙な違和感があった。
そんな違和感の正体が確信になったのは初めての魔法の授業のことだ。
僕はどうやら、魔法の才に恵まれたらしく、5才になった時に魔法を暴発させてしまい、大怪我をしてしまったことがある。
その頃から少しづつ魔法について勉強しているのだが・・・そこで不思議に思った。
何故魔法があるのだろう?と。
そんな疑問を持ってから数日後、僕は熱を出してしまい、そこでこことは違う世界・・・いわゆる前世の世界の記憶というものを手に入れてしまった。
目覚めた当初は、記憶の混濁と意識のすり合わせにほんとに苦労した・・・とはいえ、昔から妙に大人っぽい、大人しい性格の僕はほとんど性格の変わることはなく、数日後には普通に暮らし始めた。
とはいえ、困ったこともある。
それは、この世界が前世の記憶にある乙女ゲームなる世界にそっくりなことだ。
乙女ゲームは女の子向けの恋愛ゲームらしく、前世男の僕が何故やっていたのかは疑問だが、それでも妙に似ているのだ。
ちなみに、ゲームの名前は「空に誓う永遠」という、乙女ゲーにしてはなんとも不思議なタイトルでそこそこ話題になった。
内容としては、平民の女の子の主人公が、魔法学園に入学して、そこで、さまざまなイケメンの攻略対象と仲良くなり、恋に落ちるというベタな内容だ。
さて、実は僕こと、ラルフ・スウェーデンもこのゲームに参加していたりする。
非常に残念ながら、僕はこのゲームのメインの攻略対象らしい。
ゲームの僕は、昔から優秀な兄と比較されて育ち、兄に劣等感を抱いて生きていた。
そんな僕は、学園に入って出会ったヒロインに心を癒してもらい、恋に落ちる。
しかし、そんな二人を邪魔するのが、僕の婚約者であり、このゲームのメインの悪役令嬢のサラ・アメリア公爵令嬢。
彼女は、僕に近づくヒロインに対して嫉妬して、数々の嫌がらせをするが、それがさらに二人の仲を進展させて、最終的に彼女はヒロインを殺そうとしたところを僕に見つかり・・・まあ、好感度によるが、よくて、国外追放で、最悪処刑される。
まあ、王道のストーリーなのです。
さて、何故こんな話をしたのかと言えばさっき父上である国王から呼び出しを受けて、僕の婚約が決まったからだ。
相手はもちろん、サラ・アメリア公爵令嬢。
まあ、誰が婚約者でも面倒なことにならなければいいかなーって思っていた僕は後日その考えを改める。
何故なら・・・・
「お初におめにかかります。わたくし、殿下の婚約者になります、サラ・アメリアと申します。」
そんな挨拶をして可愛くはにかむ少女に僕は恋に落ちてしまったからだ。