第1章 悪夢との再会 04
死ぬと、現実世界に戻ることを知った葵はー
ぼやけるこの感じ…やっぱり同じことになるんだ、でも景色が違うような…
視界が良くなる。ここは滝の前、写真をとったところ。
「つまり、こっちの世界で写真を撮ると、その場所でセーブされる、どこでもセーブができる!」
それもそうだが、これは変な場所で写真を撮ると詰む、つまり現実での玄関を超えることもできない…要は、こっちの世界だけでなく、現実でも詰んでしまう可能性があることを意味していた。
タウロスはこう書いた。
「クルゾ、キヲツケロ」
「リョウカイ」
毎回言葉が同じなわけではないようだ。葵は前のことを思い出す。
前、うまくいかなかったのは他のゾウもきたからだ、と言うことはなんらかの仕掛けがあるはず。
そう考えた葵は、タウロスに作戦を変えるよう手紙を書いた。
新しい作戦はこうだ。
まず葵が、タイミングを取り、今だと思った時に手をあげ、そのタイミングで全員でゾウに近寄り、全体からロープで縛ると言うものだ。
非常に簡単な作戦になったように思えるが、やることはプロセスを踏まなくなった分難しくなっている。
まず、他の村人の全滅を避けるためには、これ以外考えつかなかった。
日没。ゾウが現れた。前と同じように水浴びをしている。
スッと葵は手を挙げた。それと同時に、村人たちが勢い良く突進する。
全方位から縛られたゾウは倒れ、その隙にタウロスが心臓を突く。
一気に押しかけたためゾウも反抗できなかったが、何回も繰り返していたら、きっと死んでいただろう。
「ギィ、ギィ、ギィ」
木の台車が動く音がする。
それから、気づかないうちに現実世界へと戻っていた。