第1章 戦って得た物 03
と、とりあえず、縄文時代のトラップの写真を撮らねば。そんな使命感に駆られて写真を撮る。
「カシャ、パシャ」
そんな写真を撮っている間にも、村人たちは、森の奥へと進む、一足遅れて葵も進む。
その時タウロスはこう書いた。
「ココカラハキケンダ、キヲヒキシメロヨ」
そんなこと言われたら進めねえよ、そう思っていても、そうは返事できねえ。そんな風に思っていた葵。
だが、この時のタウロスも本気だった。
さらに3kmほど進んだところに、滝があった。今の日本にはこんな綺麗なところはない。そう断言できるほどの美しさだった。
そんな思いとは真逆、その滝に住み着く「ゾウ」が今回の獲物だ。
葵はこう書いた。
「ソノゾウハイツアラワレルンデスカ?」
タウロスの答えはこうだ。
「タイヨウガシズミタキカラツキガミエハジメテカラダ」
太陽はまだ沈みそうにない。なので滝を撮ることにした。他の村人たちは、皆草むらで何やら準備をしているようだが、葵には何が何だかわからなかった。
日没。ここからが勝負だ。葵はぐっと骨剣を握る。
タウロスの作戦はこうだ。
まず、村人がシカにロープを引っ掛けたのと同様に、今度は葵がゾウの鼻にロープを巻く。そこに、他の村人たちが一斉に登り、背中にロープのついた槍を刺し、下に待機していた村人たちが、ロープを引っ張り、ゾウを倒す、あとは、タウロスが心臓を突く…と言うものだ。
これは、冬に備えてでもあるが、葵にとってはこの世界で生きれるかの試練でもあった。
そして、ゾウは現れた。
優雅に水浴びをしている。葵たちにはまだ気づいていない。今がチャンスだ!と思った葵は特攻する。
「喰らえええ!」
足に剣を刺し、その剣に乗り、鼻にロープを引っ掛ける。その時、ゾウの群れが後から来た。
「そんなこと聞いてねえ!おいタウロス!って言葉が通じねえのか…」
やばいやばいやばい。そんなことわかってる、落ち着け!と自分に言い聞かせる。
別のゾウが葵へ突進する!
「ああ、あああああ」
鼻にロープを引っ掛け、瞬時に、飛び去る!
人は、本当の死を目の前にした時、本当の力を発揮すると。
葵はなんとか木にロープを縛り付け、逃げることに成功したが、元の計画とは違う。あとはここからタウロスがどこまでカバーできるかだ、と思ってタウロスたちの方を見ると…
タウロスたちはいなかった。あるのは、紅い液体だけだった。
そして目の前にはゾウがー
葵は悟った。ここで死ぬと。