木々は紅葉の中に
向こうの方から吹いてくる風に僕は押されている。行く先を示すものは君が作ったあの地図だけだ。だからもう一度ほんとうのことを信じて回転する。夜が森にやってくる前に。そしてそのとき新たな門が開き、夕暮れ空は飛ぶカラスの中に混じる。キツツキのような人がこちらを見ている。
薄いシートの上を転がる僕ら。まだ見えない谷の中のお城を探すあの人達。その後空を飛んで雲と雲の間をただよう。そして上下左右に揺れている。安全な時間差を求めてゼロとイチの間を行ったり来たり。
万華鏡時間と望遠鏡時間にダイヤルを合わせた三羽の小鳥達は朝市に買い出しへ。その中から竹の子を寄せ集めてポン。そしてもう一度始めようとする、ゼロとマイナスイチの交流を。夜の涼しい電波の中に浮かぶ丸い玉は青白い光を放ちながら闇の中に。
曲がり角の中、人々は夜へ飛び込んでゆく。そしてもう一度、川のそばのベンチでぼんやり。カラスがごみをあさっている。風が涼しい。木々は紅葉の中にある。