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第90話  アミューズメントしよう! その9



「……」

「……」

「……」

「……」

「早くはいろ~ ね~ みんなぁ~?」


(ラヴ姉さんの変わらなさが今は救いになってるな…… 俺は隅っこで待機していよう…… はぁ……)


「……どうするの?」

「入らないと能力上がらないよネピア」

「で、でも…… タローもいるんだよ?」

「……服があってもなくても戦闘になれば一緒」

「戦闘って…… ちょっとエルモア?」

「なにネピア?」

「タローは私たちの為に頑張って奴隷解放申請もしてくれた。それにここにくる船賃以上の金額八百万クイーンも稼いできてくれたのよ?」

「……うん」

「確かに驚いたコトもあったかもしれないけど、それは勘違いだって分かってたハズでしょ?」

「……でも」

「……じゃあそれはエルモアが納得してからでいいから、今さっき言ったタローが私たちにしてきた事は忘れちゃ駄目よ?」

「そ、それは…… 分かってるんだけど…… ど、どうしてもエルフゲームの事が気になって……」

「エルちゃんはズーキさんがそんなコトをしないって信じられない?」

「そ、そんなコトはないけど……」

「私もズーキさんがいた世界のコトはよく分からないし、それにズーキさんがちょっと? ちょっと以上かな? エッチな感じも認めるけど、それを上回る優しさをもってるんじゃないのかな?」

「う、うん」

「ラヴじゃないけど、男の子なんてそんなもんかもね」

「確かに淫獣だけど実際何もされてないでしょ? ……まぁ、私には未遂とはいえ色々やってきた訳だけど。それもタローなりのヘンテコ理論があって、アホしてるだけだから。エルモアが思っている様な存在じゃなくて、アホなのよ。単純にアホなの」

「……うん」

「それに覚えてる? エルモアには汚れて欲しくないんだ! なんてよく言ってたじゃない。それだけ大事にされてるのよ」

「え!? そんなコトを言ってたの?」

「この私の扱いはヒドいけどね……」

「ホント? エルちゃん?」

「……うん」

「他のエルフ達同様にあの件でショックを受けているのは分かるけど、私にとっては大したことない話よ。そりゃ~ 驚いたけど、漫画とか小説には過激な表現もあるからね。慣れよ慣れ」

「慣れ……」

「実際タローがそういったコトをしていたら、こんなコトは言わないわ。けどタローは女王様に誓って純潔を証明したわ」

「そんなコトも言ってたねズーキさんは。いきなり言うから驚いたよ…… というか私が恥ずかしくなっちゃった……」

「そういう考え無しのアホで行動的なだけ。何も私たちに危害を加えるような人間じゃないわ。斜めに見ればさっきのエルモアみたく考えられるけど、裏を返せば大した事は出来てないでしょ? エルモアが考えているような事は」

「うん」

「まっ 徐々に慣らして馴れていけばいいわ」

「そうだね。エルちゃんとズーキさんが仲違いしていたら、私も悲しいかな」

「……ごめんね」

「いいの。エルモアが原因じゃなくて、タローが余計な事を言って女の子を怯えさせてるんだから気にしない。全くあいつは……」

「ふふっ」

「……なにクリちゃん」

「なんでも」

「……気になるじゃない」

「気にしない気にしない」

「……」


(ネピアとクリちゃんがエルモアにフォローしてくれているのか…… みんなには頭が上がらないな……)


「もうラヴ姉さん! 脱いじゃう!」

「「「「 !? 」」」」

「うぇ~い!(スポーン!)」

「「「「 !? 」」」」


(え!? マジで!? サラシとふんどし姿に!? ちょ!? それも全部取って!?)


「ちょ、ちょっとラヴ姉!?」

「わ~い!(ざぶ~ん!) ぎゃーーー!? 熱っちーーー!? うわ~ん!」

「ら、ラヴ姉!? ほら! ちょっとゴロゴロしないで!? 魔法かけるからぁ!」

「うわ~ん! 熱いよぉ~ うわ~ん!」

「……これでどう? ラヴ姉?」

「あ~ ホントに効くね~ ネピアっちのは効くね~」

「そ、そう? エルモアの方が上手い気がするんだけど……」

「ラヴ忘れちゃったの? みんなで入らないと適温にならないんだよ?」

「忘れてた……」

「忘れてたか…… 勢いあったもんね……」

「ちょっと!? タローはこっち見ない!」

「す、すまん」


(めっちゃいい身体してるよ…… 小柄だけど…… ミニグラマーって存在したんだ……)


 サラシをしていたせいか、それなりの胸だと思っていたラヴ姉さんの乳房は、おおみかんのようにたわわに育っていた。


(おおみかんは言い過ぎだけど…… あの大きさは初めて見たよ…… 凄く…… 大きいです……)


「……ラヴも脱いじゃったから覚悟決めて入るね」

「「「 !? 」」」

「流石はクリっち! 心の友!」

「……ズーキさん? 恥ずかしいので向こう向いていて下さいね?」

「は、はい!」


(マジかよ…… クリちゃんはどんなアンダーウェアを身につけているのか…… 気になる…… 俺、気になりますっ!)


「クリっちはスポーティーだね!」

「ぶっ!?」

「ちょ、ちょっとラヴ!? 説明は止めて!」

「……タローは耳も塞いでいなさい」

「……はぃ」

「……私も入る(バッ!)」

「お~ エルっちは紐パンかぁ~」

「はい。自分で締め付けを調整出来るのが好みです」


(紐パン!? エルモアは紐パンなの!?)


「なるほど~ ならふんどしもオススメだよ~」

「情報ありがとうございます」

「後はネッピーだけだよ~ 早く~」

「ち、ちょっと待って! タロー!? 絶対こっち見ちゃ駄目よ!? 聞いてんの!?」

「はい!」

「耳塞いどけっていったでしょっ!?」

「……はぃ」


(理不尽だけど腹が立ったりしない…… ネピアに対する考え方も大いに変わった…… もしかするとここに来て良かったのかもしれない……)


「ネピアっちはローライズかぁ~!」

「ちょ、ちょっとラヴ姉!? 大きな声で言わないで!? タローに聞こえちゃうでしょ!?」

「どうしてローライズなんだ~い?」

「……暑がりだから面積の少ないのにしてるだけよ」

「なるほど~」


(寝る時もホットパンツとキャミソールだったもんなぁ……)


「タロー!?」


(一回は聞こえないフリしないと……)


「タロー!? 聞いてんの!?」

「はい!」

「あんたも脱ぎなさい!」

「はい!」


 意外に面倒なスーツ上下とワイシャツを脱ぎ去りトランクス一丁になる。そしてそれすらも取っ払った。


「全裸です!」

「よし! そのまま後ろ向きで待機!」

「はい!」

「一、二の三で同時に温泉に入るわよ!」

「はい!」

「「「「(ヒソヒソ)」」」」

「一! 二の! 三!」

「おっし! ぎゃーーー!? 熱っちーーー!?」


(なんだよ!? 温泉に飛び込んだの俺だけじゃないか!? 熱っちーーー!?)


 ラヴ姉さんがしていたように地面にゴロゴロと転がり、熱さを逃がすようにする。多少床の冷たさが熱を逃がすが、全身は真っ赤である。


「タロさん!」

「あっ! エルモア!?」


 エルモアは服を着ていない事など、気にもとめずこちらへ走ってくる。俺は目を背けると同時に胡座をかいて後ろ向きになる。


「大丈夫ですか?」

「あ、あぁ…… だ、大丈夫……だ……」


(お、落ち着け…… し、しかし…… 後ろには…… は、裸のエルモアが……)


 すると身体肩の辺りから染み渡るように、痛みが引いていく。俺の背中に置かれた二つの小さな手。エルモアの魔法で俺の身体は癒やされるが、熱さは引かなかった。何故なら恥ずかしかったから。


「ごめんなさい…… みんなでタロさんを騙そうって…… 私も……」

「い、いや…… だ、大丈夫だ…… こ、 こうやって直してくれてるから、も、問題…… ないよ? 大丈夫!」

「よかった……」

「そ、そのな? エルモア? ご、ごめんな? 俺、アホだから変なコトを言っちゃって…… 嫌な思いまたさせちゃったな…… 本当にごめん……」

「私もです…… タロさんを騙して痛くて熱い思いをさせてしまいました……」

「いいんだ。これは罰だから。もっと言動と行動を紳士的に振る舞えるようにしっかりするよ」

「はい…… どうですか? もう痛くありませんか?」

「あぁ。大丈夫だ」

「はい!」

「じゃ、じゃあ。今度は本当に皆で入ろう」

「そうですね。じゃあ一緒に入りますよ~ みんな~ 用意はいい~?」

「「「 は~い!!! 」」」

「せ~の!(グイッ!)」

「おわっ!?」


 そうして響き渡る着水音。行儀が良い入り方とは言えなかったが、この音が全てのわだかまりを弾けさせてくれたように感じる。俺はエルモアにそのまま引っ張られて温泉に突っ込んだ。鼻に水が入りおおいにむせたが、苦しさより心地よさが勝った特別な瞬間となる。











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