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第62話  精霊の国へ行こう!

  

 二章 ~ 出逢 ~ のあらすじ


 ロリフターズの奴隷解放申請を行った主人公ズーキは、二人の生まれ故郷である精霊の国への船賃を稼ぐ。アドリード王国の大臣が不穏な動きをするものの、主人公の機転と街のみんなの協力もあって精霊の国に向けて無事出港する。



 

 満点の星空。俺たちは今、バルバードさんの作った船に乗船している。エルモアとネピアの生まれ故郷になる、精霊の国へと舵を取っている。

 航海は順調で基本となる海流から離れ、未開に近い航路を進んでいる。バルバードさんが言うには、もうそろそろ精霊の国へ到着するとの事だ。


「「「「「「  かんぱ~い! 」」」」」」


 もう何回目になるだろうか。言わずと知れた宴会がいつものように始まる。


「いや~ 仕事もしないで飲む酒はうまいな~」

「ズーキもそう思うか?」

「アウロだって、皆だってそうだろ~?」

「そりゃそうさ~ 飲み続けて飲み続けて金が無くなったら仕事って感じでいいよなぁ~」


 ヤコブがそんな事をいうと釣られて笑いだすフレイとベルギィだった。


「ホントホント。リーダーやノカラみたく嫁さんも子供もいないし気楽ってもんだよ。子供作る前に離婚して正解だよ。はっはっはっ!」

「よっ! 三ヶ月男のヤコブ!」

「それは言うなよ……」

「えっ!? アウロとノカラは結婚してるの?」

「あぁ」

「そうだ」

「えっ!? じゃあ嫁さんと子供は置いてきたのか?」

「……嫁さんが稼いでこないと帰ってくんなってさ」

「俺の方は嫁さんが俺に対しては放任主義でな……」

「……そうか。大変だな…… フレイとベルギィは?」

「フレイは凄いぜ? なんてったって離婚して全ての養育費を払い終えた。そして娘さんからお孫さんを任されてた時もあったからなぁ。最高のバツイチさ」

「すごいな…… それって娘さんには愛されてるって事だろ?」

「まぁな。嫁とは折り合いが付かなかったが、娘は俺に懐いてくれててさ…… 正直言うと、孫と離れる時は俺も心で泣いたよ……」

「みんなしっかりしてるなぁ~ で、ベルギィは?」

「「「「……」」」」


(あっ やべぇ!? 地雷踏んだ!?)


「いつの日か自宅に戻ったらさ……女房が子供連れて出て行っちまった後さ……」

「「「「「……」」」」」


(重ぃ~)


「そ、そうだったのか…… す、済まない……」

「いいさ。俺みたいにはなるなよ? ズーキは俺らより若いんだ…… ヤコブとまでは言わないが、遊べる時に遊んでおけよ? はぁ……なんで俺はあの時に……」


(重ぃ~ 重ぃょ~)


「ベルギィさん。はいどうぞ。この漬物は、よく漬かってますよ」

「……ありがとう。エルモアちゃん」

「エルモアちゃんは出来てるねぇ~ エルモアちゃんの旦那になれるヤツは幸せもんだな~」

「ありがとうございます。いい奥さんになれるように頑張ります!」

「ははっ エルモアちゃんは、そのままいけば大丈夫だよ。な! ズーキ?」

「あぁ。エルモアは大丈夫。心配なのは、この尿漏れエルフの方だ」

「なっ!? こらぁ!? また尿漏れっていったぁ!?」

「そういうところだよ? ネピア嬢? 君には結婚は向いていないね。この社会派紳士が太鼓判を押すよ! はっはっはっ」

「あんただって全く向いてないでしょーがっ!? 大体あんたと結婚してくれる相手なんてこの世にいる訳ないじゃないっ! それこそ太鼓判を押してあげるわ! はっはっはぁ!」

「んだとぉ~!?」

「やる気ぃ~!?」

「いや~ 本当に幸せもんだよ~ こんな夫婦漫才が見れるなんてさぁ~ はぁ~ ラヴ姉さん! うれしい!」

「だっ だれが、ふ、夫婦なの!? ラヴ姉!?」

「ズーキくんとネピアっち」

「!?」

「……尿漏れはちょっと」

「あんたぁー!?」


 いつも通りの展開が毎夜毎夜続いていく。しかしアウロ達みんな結婚経験があるとは驚きであった。もちろん年上だからそういった事もあるのだろうが、俺との出会いが出会いだった為に、その年齢差を超えて仲良くなってしまった限りである。


「そういえばさ、アウロ達は北の街にいた時は何してたの?」

「俺たちか? 自警団のようなモンだな」


 ラヴ姉さんとアウロ達は、ラヴ姉さんが幼少の頃からの知り合いだって事は聞いていた。この日になるまで、ラヴ姉さんの事は話に出たのだが、彼らの事はあまり話に出て無かったからだ。また地雷を踏んだのかと思ったが、そういう訳ではなかった事に安堵する。


「すごいよ~ アウロ兄ちゃんズは~」

「おいおいやめてくれよ……」

「そうそう……」

「そういえば…… 商人の仲間を潰したって言ってましたよね?」

「「「「「 …… 」」」」」

「北方舞狂アウロスター 一家と呼ばれてたのさぁ~」

「かっこいいです!」

「なんだか好戦的に聞こえるわね…… ふふっ」

「ネピアちゃん? 俺たちに攻撃してこないでくれよ?」

「……ねぇ」

「なんだい?」

「私の扱い…… おかしくない?」

「だって…… 最強最高の魔法士ネピア様なんだろ? 俺たちも流石にそんな魔法士とは立ち会えないよ……」

「じゃなくって! 攻撃ってどういう事よ!」

「す、すまん。怒らないでくれよ? な?」

「あ~ すいません。こいつ更年期なんですよ? もう百歳ですから」

「(ゴォォ)」


(あ…… やべぇ…… 瞳が青く燃え始めたぁ…… 怒ってるよぉ)


「そういやそうだったな。初めて聞いた時は驚いたけど、精霊の国での年齢換算で実際は違うんだろ?」

「(シュゥゥゥ)」


(ちょっと…… 落ち着いたか…… はぁ)


「そうよ! このネピア様は若い個体なんだから! これからよ!」

「成長期が?」


 エルモアとネピアは双子のエルフで、子供のように小さい。彼女が言うにはこれから成長期になって大きくなるそうだが実際は不明である。そうして年齢は聞いた事はないが、百歳の十分の一である十歳といっても通じるだろう。ちなみに彼女ら程に小さくはないが、ラヴ姉さんも小柄である。


「このままだと思ってんの!? 健康優良エルフなのよっ!?」

「……」


(言わぬが華かな)


「それでアウロさん達は自警団だったんですか? お話を聞きたいです!」

「じゃあラヴ姉さんが話してしんぜよう! 北方舞狂アウロスター 一家は、その名の通り北方であるバーストナードの街に存在した。舞い狂うように、そして星の瞬く瞬間に、敵を倒していった事から名付けられた通り名でもあるのさぁ~」

「かっこういいです! かっこういいんですよ! かっこうよかったんですよ!」


 興奮したエルモアはその場で立ち上がり、敬礼しながら皆に宣誓した。


「すごいな…… じゃあ凄腕の自警団だったんだ。そんなすごい人たちと、この異世界でいきなり会うなんて幸福だったってことだな」


 俺はこの異世界に初めて来た時の事を思い出していた。元の世界からバックレてヨヘイさんという職人のじいさんと出会い、アウロの隊商と出会い、その荷車に密かに乗せられていたエルモアとネピア。そして、その時はまだ奴隷だった二人。本当に色々あってこの状況に至る。


「あまりその名で呼ばれると恥ずかしい。別に俺らが名乗ってる訳じゃないからな?」

「そうなんですか? かっこういいと私は思います!」

「俺もそう思う。それに自分たちが名乗っている訳じゃないって所がまたいいな。必然的に事実からそうなった感じがして、余計に名前の由来を強く感じるよ」

「ま、そう言われれば嬉しいが、強いヤツってのは世の中に沢山いるかなら。別に俺らが最強って訳じゃない。俺たちは負けないように戦ってきた臆病者さ」

「そうそう。ヤバい時は何回も逃げたしな」

「けど、最終的には潰しにはいったけどな。ははっ」


(結局潰してんのか……)


「兄ちゃんズはモテたよぉ~ けど、上手くいかなかった人もいるね!」

「ラヴ…… お前ヒドくないか?」

「ラヴだって上手くいってないじゃん」

「なっ!?」

「そうそう。昔から…… なんだっけ? 異種姦いしゅいかんだっけ? 訳わかんない事いって同年代の男子から引かれてたもんなぁ。ははっ」

「兄ちゃ~ん ヒドイよ~ あたしだって! あたしだってぇ~ うぅ…… うわ~ん!」


(あ…… ラヴ姉さん…… 泣いちゃった……)


「あの……」

「どうした? エルモアちゃん?」

異種姦いしゅいかんってなんでしょうか?」

「「「「「「「 …… 」」」」」」」

「あの……?」

「それはねぇ! エルモっ むぅ!」

「(ちょっとラヴ姉さん!? 異種姦いしゅいかんは禁止! 淫靡なセリフ禁止!)」

「(いいじゃ~ん 教えてあげようよぉ~ しっぽり出来るかもよぉ~?)」

「(さっきまで泣いていたのは誰ですかっ!? また引かれますよっ!?)」

「うわ~ん! ズーキくんがいじめるぅ~! うわ~ん!」

「あの……」

「え、エルモア? そのな? その……」


(あ~ どうしたらいいんだ~ エルモアには汚れて欲しくなぃ~ そうかっ!?)


「純愛!」

「!?」

「純愛なんだっ!」


(なんだかそんな事を言ってたよな、ラヴ姉さんが異種姦いしゅいかんは純愛なんだって…… 種族の超えた繋がりは純愛なんだって……)


「それ以上の説明は出来ない…… 理解してくれとは言わない。ただ、この言葉はあまり公の場で出す事は禁止項目に触れます」

「……」


(なんだか考え込んでいるみたいだけど…… とりあえずは流せたな……)


 そうして場が冷え込んだ後は、いつも通り酒をあおって勢いに任せた飲みを初めて、お酒ごと状況を流していくのであった。




 

 

 

 ~ 登場人物の装備 ~



主人公


  頭   →   VR型サングラス

  体   →   スーツ上下

  足   →   DUNL◯P (白のハイテクシューズ)




ロリフターズ


  頭   →   ヘアピン ヘアゴム フード(エルフ用の耳袋付き)

  体   →   白魔道士風の上下セットアップ(マント付き)

  足   →   ベージュのショートブーツ




ラヴ姉さん


  頭   →   手拭い かんざし

  体   →   上は甚平 下は和風パンツ 前掛け 十手

  足   →   地下足袋


  前掛けにある文字の移り変わり


 「見敵必殺」→「焼肉定食」→「一家団欒」→「順風満帆」→「  ?  」




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