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第一部 神帝編 第十三章

日本元首義王ぎおうの右目から放たれた光矢は左目で結ばれた呪印の力で天井へ磔にされたじん みかどへ光速で打ち込まれた。

しかし光矢は義王と帝の中央で動きを止めた。

『貴様!?

我が右眼の呪印を凌駕するほどの・・・』

帝の呪文により光の矢が義王の元へ押し返され始めた。

義王もまた呪文の詠唱を始める。

そして右目にも新たな呪印が現れた。

再び光の矢は帝の下へ押し戻された。

義王は詠唱を続けながらニヤリと笑みをこぼした。

二人の高度な呪術の影響で地が割け部屋全体が地響きを立てて震える。

光の矢がブルッと振動し帝の方へ轟音を立てて飛び込んでいった。

”ギィン!!”

激しい音が鳴った。

帝の長剣が光の矢を砕いていた。

そして義王へ長剣を投げつける。

長剣は義王の刺さる直前光の壁に防がれた。

長剣と光の壁の接触部分で火花が散り鉄が軋む高い音が鳴る。

光の壁にヒビが入りジワジワと剣先を押し込んでいった。

『バカな・・・!!』

義王の表情が険しく歪んだ。

次の瞬間白い壁が粉々に砕け散り長剣は義王の体を貫通し地面へ突き刺さった。

義王はゆっくりと膝を付きその場に崩れ落ちた。

その体がひび割れ粉々になって元の面影もなくなった。

やがて骨だけとなった。


地面に刺さった長剣が少し動いたかと思うと空中に飛び上がり

回転しながら帝の腰にある鞘へ収まった。

建物全体がひび割れ崩れ始めた。


日本の総理大臣がS級犯罪者の帝に暗殺された事件は

歴史の教科書に載るほどの大事件として日本犯罪史上最大の凶悪事件として記録される。


同日東京の上空に黒い球体が発生し30分弱留まって消滅した。

黒い球体。

直径8メートルほどの極小ブラックホールのようなものでレーダーやX線など探知器にも無反応。

数時間後その正体が判明した。

SSS級犯罪者エタニティス。

前回現れたのは300年前。

アメリカ北東部に位置するニューヨークビッグアップルに現れたという。

ニューヨークは地面ごと根こそぎ無くなり海水が流れ込んで円形の湾が出来上がった。

政府は混乱を避けるため東京上空に現れたエタニティスについての発表はしなかった。


首相暗殺事件により東京は厳戒態勢が敷かれた。

しかし1週間経ち、2週間が経っても神帝の足取りすらようとして掴めなかった。


数ヵ月後。

ソ連のカムチャッカ半島のクリュチにある999番中等学校シュコーラ

ソ連とははるか昔ロシアと呼ばれた地域だ。

その学校の別館屋上菜園で15歳になったばかりのエカチェリーナが水をやっていた。

トマトが出来たらお父さんとお母さんに持って帰ろう。

ゆっくりとした日差しの中でエカチェリーナは家族に思いを馳せる。

エカチェリーナカーチャ!!』

屋上の鉄扉が激しく開いてクラスメイトのユーリンカ、レーナ、ソーニャら3人が現れる。

『何?』

『はぁ・・・無事だったかー。』

姉御肌のユーリンカが大きくため息を付いた。

『一人で行動しちゃダメってみんなで決めたじゃないですか!』

レーナが詰め寄るとカーチャはがっくりと肩を落とした。

『ごめ~ん。

最初はおトイレに行くつもりだったんだけどね。

気が付いたらここに来てたの・・・』

『カーチャはおバカだけど笑えるおバカだから心配はしてなかったけどねー』

ソーニャが茶化すと後で来た3人で大笑いする。

『もう!!』

『さぁ戻ってお茶にしましょう!

焼きたてのパンケーキブリヌイがあるわよ。』

ユーリンカの一言で不服そうなカーチャが満面の笑顔になった。

最後に残ったレーナは屋上から周りの景色を見渡した。

町全体が赤黒い光の壁に囲われていた。

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