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第一部 神帝編 第十二章

首相官邸のビルの高層階の長い廊下をじん みかどが一陣の風となって走り抜けた。

途中何体かの警備兵が道をふさいだが一瞬で真っ二つに切り裂かれる。

そして突き当りまで辿りついた。

巨大な部屋の中に武家屋敷が建っていた。

5mほどの高さの漆喰で固められた白い塀が帝の前に立ち塞がっていた。

塀の外側には広い堀があり門の前に石の橋が架かっている。

帝が右手を掲げると巨大な門が吹き飛んで奥にある立派な屋敷が姿を現した。

屋敷のすぐ横には広い庭があった。

広い庭は砂紋が刻まれており美しく整備されていた。

また庭の四方にはかがり火が焚かれており正に戦国時代の戦場の本陣のさながらであった。

帝はズカズカと庭を横切って屋敷に上がり長剣でふすまを両断した。

そして両断した勢いのまま剣を反転させ帝の真後ろに立っていた人影を両断する。

両断したかに見えたその人物はすでにそこにはいなかった。

斬る直前に大きく宙を舞い10mほど後ろへ跳び避けた。

帝は不敵な笑みを浮かべてその人物を視界に捕らえる。

日本の総理大臣義王ぎおうであった。

真っ白な狩衣かりぎぬをまとい戦国武者のように甲冑を身に着けた美青年である。

靴は白いスニーカーだったが高下駄のような長い一本歯が生えている。

『義王だな。死ね。』

義王は屈託のない満面の笑顔で答えた。

『生きのいい小僧だ。

閻魔の前で無礼を働かぬよう礼儀を仕込んでやろうか。』

そう言って義王は少しずつ大きくなっていった。


義王の実年齢は不明ではあるが首相となって1000年を数える。

見た目とは裏腹に苛烈な性格で日本を世界でもトップクラスの経済大国へのし上げ維持してきた。

その分敵も多くこれまで何度かの首相暗殺未遂があったが、

全て首相自ら返り討ちにしている。

一方で孤児院などを中心に福祉政策を充実させた功績がある。

虎のマスクを被って謎の覆面レスラーとして活躍した時期もあった。


少しずつ体を大きくしていく義王に帝が長剣で斬りかかった。

微動だにしない義王。

何度か斬撃を浴びせかけるが激しい金属音が響いて弾かれてしまう。

『!!』

義王の右目が赤く輝いた。

瞳に呪印が次々と現れては消えた。

すると5メートルほどに巨大化した義王の頭の高さまで帝の体が浮き上がる。

義王は全身をバネのように捻ると人の頭ほどはある右手が拳骨となって帝を殴りつけた。

寸前に剣で直撃を防いだが高い質量と速度で帝の体は20メートルは吹き飛びかがり火にぶつかって火の粉が激しく飛び散った。

帝は頭から漆喰の壁に激突して壁を真横にすべりながら人形のように別の壁へ飛んでいき突っ込んだ。

おびただしい量の流血が真っ白な壁を汚した。

右目の呪印とは別に今度は左目に呪印が浮かび始めた。

帝の体を空中へ持ち上げ館の上にある天井へ磔にした。

すでに帝の体の傷は修復し呪文の詠唱を始めていたが義王の魔力の力に抗えずにいる。

『なるほど。

たかだか300年ほどの小僧と甘く見ては痛い目にあうな。

締めだ。』

右目の呪印が結び終わって、右目から燃え盛る巨大な矢が突き出した。

義王の呪文の詠唱が始まり矢が震えだして炎の温度が上がり始める。

赤から青へ、そして真っ白に変貌した。

周囲の温度もうだるような暑さとなっていた。

左目に次々現れる文字も加速していく。

文字の加速に合わせて帝の体は天井に食い込む。

帝は苦悶に満ちた表情のまま身動きできずにいる。

次の瞬間、義王の右目の紅蓮の光矢が猛烈な唸り声を立ててレーザービームのように帝へ放たれた。

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