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第一部 神帝編 第一章

「お前の首はこのオレがもらう。」

(あずま) (りょう)はつぶやいた。

見渡す限りの砂。

かつて、ここがあの東京だとは誰が思うだろう。

人類の繁栄から数千年、かつての大都市も砂漠化が進み廃墟と化したビルがかろうじて面影を残していた。

じん みかど。お前を殺せば妹への薬が買えるんだ。3億円あれば・・・。)

ビルの一室で浅黒く日焼けした肌に汗だくになりながら若い男が双眼鏡を覗き込んでいた。

その視点の先には砂漠を馬にまたがり向かってくる賞金首 神 帝の姿があった。

「!!」

了には一瞬帝がこっちを見たような気がした。

(気づかれた!?いやまさかこの距離で・・・)

了は双眼鏡を下ろした。

「!!」

神 帝が了の目の前に立っていた。

帝は長剣の切っ先を了の鼻先スレスレにまで近づけて言った。

『ここで何をしている?』

帝は了よりやや若い外見だが人間ではない。

見た目では本当の年齢は分からない。

白く透き通るような肌と黒くウェーブした長髪、やや尖った耳。

鋭い目つきで射すくめられ了は動くことも出来ず、しかし帝をにらみ返した。

『ん?人間か・・・。』

帝は了を人間と知った途端さげすむ様に吐き捨てた。

興味を失ったように剣先を了の鼻先から下ろしたその刹那、

了は腰からレーザー銃を取り出すと帝の額を狙い打った。

放たれたレーザー光線は帝の直前で鋭い炸裂音を発して弾けて消滅した。

了は一瞬呆気にとられたがレーザー銃を捨てナイフを取り出すや帝に切りかかった。

それに対し翻した帝の長剣が了を捉えようと鋭く斬りつけるが、了は剣線をくぐって帝の懐に潜り込んだ。

『!』

人間とは思えない反射速度だった。

了のナイフが帝の首を切り裂き、首から上が90度ポッキリと後ろに折れ曲がった。

さらに追い討ちをかけようとする了のナイフを持つ手を帝が掴み取った。

そして帝の右こぶしが了の体を殴りつけ吹き飛ばした。

了はビルの壁に叩きつけられ壁が粉々に砕け散った。

『無駄だ。お前の相手にしているのは俺の飛ばした幻影に過ぎん。』

先ほどまで居た帝が煙となって消え去り別の帝が歩いてくる。

了が埋まった瓦礫に一瞥をくれるとそのまま歩み去ろうとするがふと立ち止まった。

『驚いた。生きているのか。』

瓦礫から姿を現した了は額から血を流しながらも数十キロはあろうかという瓦礫を咆哮と共に帝に投げつける。

帝は軽く避けながら了の元へ走り寄り再び了を殴りつけ壁へ叩き付けた。

『面白い余興だった。人間でありながら賞金首狩りハンターとはな。

だが目標ターゲットの力量を考えろ。

自分の身の丈にあった目標を狙うことだ。

丁度お前の前に俺を狙ってきた賞金首狩りの置き土産がある。

使うといい。』

帝は口笛を吹いて馬を呼ぶと飛び乗った。

そして了が再び瓦礫から立ち上がる時にはすでにその姿は遠く離れていた。

了の足元には大砲のような武器が置かれていた。

「こんなもん置いていきやがって。」

了には手の届かない高性能な武器を目の前にしてイライラをごまかすようにつぶやいた。

「あー動いたら腹減ったぜ。」

そう言いつつもその場で座り込み、帝の後姿を視界から消えてなくなってもずっと睨み続けた。

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