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8.イカレ帽子屋と初戦闘 後編

 〜イカレ帽子屋と初戦闘3〜


頭痛と戦いながら大剣をかわしていたアリスは、意を決してダガーをトンファーに持ち替えた。


そして、帽子屋が大剣を振り下ろした瞬間・・・・―――。

タンッとアリスはジャンプする。


タイミングを間違えたら、死ぬ。


帽子屋の大剣の上にアリスは乗った。

すぐに振り落とされそうになるが、その前にまたジャンプし帽子屋の目の前に跳ぶ。


ガツン。


とトンファーで一撃。

サッとすぐさまアリスは帽子屋から離れた。


一瞬の出来事だ。



「っ!・・・キツイな。お前のトンファーは」


帽子屋がトンファーで殴られた頭をさすった。


ハァハァとアリスは息切れする。

フゥーと呼吸を整えると帽子屋にビシッと指を差して一言。


「帽子屋。あなたの弱点はね“機敏さ”がない所、よ」


帽子屋と戦ったときに、アリスを襲った頭痛。

そのおかげでアリスの記憶がほんの一部だったたけれど一瞬戻った。

帽子屋はそれを聞いて、驚いたような顔になったがすぐさまフッと笑う。


「今度から改善するよ」


地面に落ちていたハンチング帽子を被りなおすと思い出したように帽子屋が言った。


「あぁアリス。お前・・・・その、スパッツ履いたほうが良い」


「え」


「だからスパッツ。白のレース・・・だろう・・・・」


「は?」


アリスは何が白のレース?と聞き返そうと思ったが、すぐさま思い当たり顔をボッと顔を赤くした。

顔から火がでる。で仕方がないだろう。


「み、みみみ見たの?」


緊張しすぎで舌がうまく回らない。アリスの体から嫌な汗がでた。


「・・・不名誉だな。アリスが跳んだ時に、見えた」


「うっ・・・嘘!履いとけば・・・良かった・・・」


あのとき、スパッツを鞄に入れなければ良かった。ちゃんと履いておけば良かった。

すっかり後悔先に立たず、である。アリスの悲痛な叫び声が響いたのだった。




「で?また、私達がいない間に出会ってるんですか」


帽子屋の淹れた紅茶を飲んでいると、3人が戻ってきた。

正直な話、帽子屋が淹れてくれた紅茶はとても美味しい。本人曰く銘柄にも淹れ方にもこだわってるとのこと。

もっと飲んでいたかったのが本音だが、仕方が無い。座っていたアリスは腰を浮かせた。


「これじゃ、さっきのチェシャ猫のときと同じパターンじゃないか」


ハンプティーが溜息をつく。まるでこちらが悪いみたいだ。

大人しく待ってただけよ。と、トゲトゲしく言い返すと

そういうつもりで言った訳じゃないとハンプティーが慌てて弁解した。


「ま、いいんじゃないか?ナイトメアが全員揃ったからな」


ナイトメア?と聞き返すと後で教えてやる、と口を封じられる。


「帽子屋とハンプティーはまだ、まともそう・・・」


アリスがボソリと呟く。少なくとも、

泣き顔を可愛いと言ったり、初(?)対面で抱き付いてきたり、

命令されるのが好きだと言ったり、樹の枝を全速力でかけぬけたり・・・はしないだろう。


「じゃァ、城に行くのぉ?ハァ、面倒くさいなぁ。アリスがいるからいいけどォ」


そうだ。次の目的地は城。


これから始まる物語の全ての始まりとなるであろう場所だった。


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