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4.卵男とチェシャー猫 中編

 〜卵男とチェシャー猫2〜


アリスは記憶を無くしたせいで地理がわからなくなったいた。

と、言っても記憶を無くす前から極度の方向音痴だったのだが。

だからどうしても案内人が必要だ。


今回も前を歩いている時計兎とハンプティーについて行かなければ迷ってしまう。

回りの森の風景に好奇がわくが大人しくついていった。


「アリス。悪いけどここで待っていてくれないかい?」


「え、ハンプティー、どうして?」


先頭の時計兎とハンプティーは歩みを止め、アリスに向き直る。

ここは森の中の泉。木漏れ日が泉の水に反射してキラキラと輝いていた。


「探してくるんだよ、“アイツ”を・・・どこにいるか検討もつかないしね」

 

「それに、ここにアリスを置いて行くと、

 アイツもあなたを見付けるかもしれないですから・・・・」


ハンプティーと時計兎が目配せしながら答えた。


「(アイツって誰?まぁ聞いてもわかんないか)待つなんて・・・」


「待っててください、ね?」


待たなきゃどうなるかわかってますよね?

と言わんばかりのオーラを感じ取り素直に頷く。アリスからはため息が出る。


こうしてアリスは森へ置き去りにされた。




――――それからしばらくたった頃。


アリスは待つのがそろそろ暇になって、うつらうつらと眠りそうになったいた。


「あれ?アリス?もしかしてェ、帰ってきたのぉ?」


語尾にハートマークが付きそうな声がしてうつむけていた頭をおこす。

そろりと、声がした後ろを向くが誰もいない。


「アーリースー、上だよぉ」


そう声がして、樹の上から1人の少年が降りてきた。

ストッと着地したその少年をまじまじと見つめる。


「わ、きれい」


少年の瞳を見て思わずアリスの口からそんな言葉がでた。

少年はオッドアイだった。右目が燃えるような赤色に、左目が深海のような青色。

髪は赤紫・・・いや濃いピンクというべきだろう。

頭には猫の耳。お尻には猫の尻尾。どうやら時計兎と同じ獣人らしかった。

パーカーを着た青年は、顔にニヤニヤとした笑みを浮かべている。


「アリスゥ?」


その声でアリスはハッとした。


「あ、その凝視し過ぎでごめんなさい。

 それに、私記憶喪失で・・・悪いけどあなたのことわからないの」


ハンプティーのときを習い、そう答える。

急に俺の事覚えてナイんだァ。と青年はしゅんとなりアリスはあわてた。


「ごっごめんなさい!!」


何も自分が悪いわけではないけれど謝ってしまう。


「いいよー、気にしてないからァ。

 ちょーっと悲しいけどォ、反響の国のバカ王が悪いから」


ニパッと笑って言ってみせた。


「じゃぁ、初対面ではないけど自己紹介だねぇ。オレはチェシャ猫。この国の武官なんだァ」


私と同じ。と呟くと


「おっかしいなァー、覚えてるのぉ?」


こう問われた。


「覚えてはないけど・・・時計兎とかハンプティーとかと会ってて」


ふぅんとチェシャ猫は面白くなさそうに顔をふてくされさせる。


「そういえば、時計兎がアリスの迎えいくんだったー。

 ちェー、せっかくオレとアリスは恋人だったんだよ、とかウソ教えたかったのにィ」


そのとき、心底アリスはチェシャ猫と先に出会わなくて良かったと思った。

記憶喪失だから、きっとチェシャ猫の言うことを信じてしまっていただろう。


「まぁいっかぁ。

 ところで、アリスをこの森においていくってことはぁ、オレを探してんのかなぁ?」


「へ?どういうこと?」


アリスが聞くと、チェシャ猫は唇に手を当てて喋る。

いかにも得意げ、といった様子だ。


「オレ武官だけど気まぐれ、超気まぐれなのォ。でぇ、住む所をこの森内で転々と変えてんだよねー。

 それにぃ、オレ自分でいうのは何だけど、人に命令されるのは大嫌いなワケェ。

 呼び出してもこないしぃ、力ずくで連れてくるしかないんだよぉ」


よくそんなので武官という職業が務まるな・・とアリスは色んな意味でチェシャ猫を感心した。

それにチェシャ猫を雇っている黄昏の国も凄いと思う。

すると、チェシャ猫はアリスの心を見透かしたように言葉を繋いだ。


「でもねぇ、オレアリスが大好きだから。アリスに命令されるのは大好きなんだぁ!

 武官になるってアリスが言ったからオレも武官になったんだよぉ?

 ねぇ、折角だからなんか命令して?ね?」


アリスは思った。

時計兎はSだけど、もしかしてチェシャ猫はMだったりするのか?と。

抱き付いてくるチェシャ猫を見てアリスは本日2回目のため息をついた。


登場人物紹介



チェシャ猫(16歳)


瞳:右は青色 左は赤色  髪:赤紫色

武器:小双刀

特技・・・高い所に登れる

趣味・・・アリス(?)

備考・・・獣人で猫。語尾を伸ばす癖がある。


森に住む武官。

とても気まぐれで(アリスに対してだけ)M。

好きなものはアリス。

嫌いなものはそれ以外。



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