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34.第三者と狂う歯車

 〜第三者と狂う歯車〜


ルークに言われて、ついてきた先は女皇の部屋だった。


「やはり王妃で、自身の義妹君になられますから。

 一度は二人きりで話がしたかったのでしょう」


ルークはそう一言残し、アリスを部屋の中へと促す。

おずおずと扉を開け、中に入る。すると・・・


「お入り、アリス」


むせるような薔薇の香り。そして、そこに座っていたのは女皇。

同じ女王でもハートとは違う雰囲気をまとわせていた。


「少し、話していたいの。良いわよね?」


「あ、はい」


にこりと笑んだクイーンに、アリスはどこか安心感に似たものを覚えて、

またアリスも笑み返した。



『スペード』


馬車の中、真っ暗闇で黄昏の王の名を呼ぶ声があった。

王――スペードは閉じていた目を徐々にあける。

声の主は確認できない。それもそうだ。姿形などその者には無いからだ。


「何だい?」


『本当にこれでいいと思ってるのか?お前は王なのだぞ。

 一人の私情で、国を戦争に巻き込んだ。一人の人間だけのために

 国が犠牲になろうとしている』


その者の言葉はぐっとスペードの胸に突き刺さった。

けれど、もう引けないのだ。


『アリス・・・あの女があの皇帝と結婚すれば、全て丸く収まるだろう。

 国も守れて、きさきにもなれる』


「っ・・・」


確かにそうかもしれない。アリスは“それ”を望んでいるかもしれないのだ。

アリスを救う・・・この言葉は一見、アリスのための事に思える。

しかし、結局は周囲の者の私情でできた言葉に過ぎない。

全て、利己的な、考え。


「・・ア、アリスは王妃になりたくないはずだよ」


それは“王”としてアリスをていたから言える一言。

アリスが王妃になりたいというのなら、自分を視てもいいはずだ。

が、アリスはスペードを見ていたけれどスペードを視てはいない。

スペードを王として思っているけれど、想ってはいなかった。


「アリスがなりたいのは、皆を守れる武官だ」


『だから、アリスは違うと?』


ウン、とスペードは頷くと、その者は「人間はわからん」と溜息を吐いた。

第三者から見て、本当にこいつスペードは馬鹿だと思う。


好きなら好きと言えば良いのに。好かれていないなら、好きにさせれば良いのに。

何故、そんな単純なことができないのか。

つくづく思うが、人間とは不思議なイキモノだ。


「それにね。僕は・・・たった一人でも、犠牲が無いと築けない国なんかいらないんだ」


スペードのその顔は合間見える王の、王としての表情だ。

誰かを犠牲にしないとできない国は平和ではないと。

そうスペードははっきり言った。まるで、スペードの父、先代の王のように。


『フ・・・そうか。まぁ、俺はあまりあの女が好きでない。

 言っておくが、助けるのはお前のめいだからだぞ』


「ははは。変わらないね、そんなところ。

 ・・・・それでも良いから、力を貸してくれよ?ジョーカー」


姿は見えないが、その時、ジョーカーと呼ばれた者が笑っているのをスペードは感じ取った。



登場人物紹介



ナイト(20歳)


瞳:黄金こがね色  髪:翡翠色

武器:剣

特技・・・剣術はもちろん体術など

趣味・・・体力作り

備考・・・ルークとは幼馴染でもある。


反響の国の皇帝の近衛。

剣さばきは帽子屋なみ。そうとう強い。

皇帝に忠実を誓っており、結構フラフラしている

ビショップとは良い喧嘩友達。


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