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29.王の記憶と好きな理由 前編

 〜王の記憶と好きな理由わけ1〜


アリスはただ焦っていた。

いきなり結婚しようなどと言われれば誰だってそうなるだろう。

しかも「して下さい」ではなく「しよう」だ。


「アリス」


と名を呼ばれ、考えにふけっていたアリスは、油をさしていない

玩具のようにギギギと振り返った。


「で、披露宴はいつがいい?」


急に話が飛躍していることに苦笑しつつ同時に焦る。


「ちょ、ちょっと待ってください!」


「敬語はいらない、どうせ夫婦になる身だ」


さらに話が跳んでいる。キング、恐るべし。


「そうじゃなくて・・・急に結婚なんて!

 私の意志はどうなっているの?」


そんなアリスを他所に、キングはクスリと笑う。


「ふむ。意思というが、俺とアリスはすで婚姻済みだぞ」


「え"?」


思わず間抜けな声をあげるアリス。

それに比べてキングは真剣な目でアリスを見つめる。


「覚えていないだろうが本当だ。

 アリスに俺が求婚したとき、アリスはそれに応じた」


「お、応・・じた・・・?」


ドクン、と心臓がはねる。

何かが、何かがおかしくないか――――?


「あぁ、条件つきだったがな。しかし、そうでもしなければ

 アリスが応じないことくらいわかっていた」


少し自嘲気味にキングは言う。


確かに条件付だったのだ。

それは、黄昏の国と同盟を結び今後一切争いをしないことと、

白雪の町を諦めること。

アリスが応じぬ場合、本気で黄昏の国を攻めるし、白雪の町も貰う。

こうキングは言った。脅しと言っていいほどのエゴ。


所詮、国を動かす王であっても人間だ。

キングも、そしてスペードも。


アリスが欲しいから、アリスを手に入れたいから、

アリスに自分の傍で笑っていてほしいから、

王らしくない行動を起こす。


それは、ただ、アリスが為に・・・―――。



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