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3.卵男とチェシャー猫 前編

 〜卵男とチェシャー猫1〜


「ここがアリスの家ですよ。 どうです?何か思い出しませんか?」


アリスは何か思い出すかも。という時計兎の考えで住んでいたという家へと来た。


「ごめんなさい。何も思い出せないわ」


申し訳なさそうにアリスが俯くと気にしないでください。と声がかかる。


「でも、ずいぶん綺麗なのね。私がいなくて時間たっていたんでしょう?」


「まぁ、それは掃除してますから。・・・・ハンプティーが」


最後のほうはアリスには聞き取れなかった。

なぜなら他の事に興味を引かれ、聞いていなかったから。


「ねぇ、これ何?もしかして、私の武器・・・・?」


部屋の壁に掛けてあった物に指をさす。

その先にあったのはアリスがいつも愛用していたトンファーとダガーだった。


「えぇ。いつも使ってましたよ。反響の国には持っていきませんでしたけど」


その中の一つのダガーを手にとると、手にしっかりと馴染む。

身体自体はこの武器のことをしっかり覚えているようだ。


「アリス、着替えてきたほうがいいですよ。

 その服は反響の国のドレスみたいですし、動きやすい服に・・・」


「うん、着替えてくるわ。・・・覗かないでね」


バレてましたか。と時計兎は笑った。

最後に釘を刺しておいて良かったと心底アリスは思う。

パタパタと着替えのために2階へ上がった。




「よしっと」


着替え終わり腰のベルトにトンファーとダガーを付ける。

ちゃんとフィットしていて、水色と白のエプロンドレスにしましまのハイソックスを着た。


「うーん。ミニスカート・・・足がスースーするわ。

 やっぱりスパッツ履いとこうかな・・・」


「アリス!下に下りてきてくれませんか?」


1階から時計兎の声がした。

結局スパッツは履かずに鞄に丸めて入れておいた。




「アリス、似合ってますよ」


「あー・・ありがとう」


いつの間にか時計兎のそばに青年が立っている。

その青年は、右目に傷があり片目しか開いていない。


「あれ?その人は?」

  

知っている人かもしれないのについそう言ってしまい、青年は驚いたような顔になる。


「言いませんでしたっけ?記憶喪失になったと。

 私も始めて見たときは全然信じられませんでした」


青年はどうやら、時計兎から事情を聞いていなかったようで益々片目が見開かれた。


「じゃあ、僕が誰だかわからない。ということになるんだね?」


コクリとうなずくと青年はゆっくりと口を開く。


「僕の名前はハンプティー・ダンプティー。

 アリスは以前、僕のことをハンプティーと呼んでいたからそう呼んでほしいな。

 ・・この目の傷は、戦場で塀の上で待機していたときに敵にやられたんだ。

 塀から落ちるし大変だったよ・・・」


しみじみと語り、ハンプティーは右目の傷を指でなでた。


「記憶喪失だから一応、初対面ってことになるんだよね。変な感じだけど、よろしく」


にっこりとそう笑って手を差し出してくる。

それにこたえて握手をした。


時計兎の黒い笑みを見てきた身としては、こういう白い笑みを見ると癒される。


「アリスとハンプティーは幼馴染なんですよ」


「幼馴染、・・・」


ハンプティーは赤毛の長髪で目は金色だった。

顔も美麗で傷があるのが少し残念なくらいの。そんな人と幼馴染。

アリスは少しこうも美形に囲まれ、変な気持ちになる。


「ハンプティーも武官なので腕は立ちますよ」


「武器は槍なんだ。ちなみに時計兎は鞭」


組立て式だから持ち運びも便利だよ。と、ハンプティーは槍の先を見せた。


「それでは行きましょうか、二人とも」


「行くってどこに?」


「森にだよ。

 別名チェシャー猫の森にね」


チェシャー猫・・・?

それは一体なんなのだろう。


アリスがそれと関わるまであと少しのこと。

登場人物紹介



ハンプティー・ダンプティー(19歳)


瞳:琥珀色  髪:赤色

武器:槍(組み立て式)

特技・・・掃除

趣味・・・散歩

備考・・・卵料理が好き。


黄昏の国の武官。

アリスの幼馴染。

右目に傷がある(反響の国の兵士にやられた)

夜になると性格が逆転する、いわゆる二重人格。

(普段は優しいが夜は荒々しくなる)



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