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18.漆黒の夜空と夜のヒト 前編

 〜漆黒の夜空と夜のヒト1〜


それからしばらく和やかな会話をした。星が空に昇るまでずっと。


「スペード、こんな遅くまで話につき合わせてごめんなさい」


「ううん、気にしないでほしい。僕も中々楽しかったから」


それじゃ、とアリスが案内された部屋に戻ろうとしたとき、

突然手首を掴まれた。


「わっ!!!びっ・・くりした。どうしたの?」


「え・・・あっごめん」


どうやら無意識の内にした行為だったらしく、本人も意外そうな顔している。

慌ててパッとスペードは手首を離した。


「あの・・・・どうして会議中に皆が僕を笑ったかわかるかい?」


「全然判らない・・・けれど」


アリスには見当もつかない。


「そう・・・・引き止めてごめん」


不審に思いながらもアリスはその場を離れた。


スペードはアリスが完全に去ったのを確認し、空を仰ぎ見る。


「・・・アリスを、前線に行かせたくなかったのは心配だったからだよ」


その後、ギュッと瞼を瞑って吐き出すように呟く。


「あと、ナイトメアと他の男共と一緒に居させなくなかった・・・

 僕も、かなり心が狭いものだ・・・」


その呟きはアリスには届かず、漆黒の夜空へと吸い込まれていった。



一方、部屋に戻ったアリスは夕食を摂るため武官用食堂へと向かっていた。

はずなのだが。


「ま、迷った!!!」


先ほどから同じような所を行ったり来たりしている。

運が良いのか悪いのか、人一人とも出会わない。


「だいたいね、ここ広すぎるのよ。

 一体どこに行けばいいのぉ!?」


記憶喪失&方向音痴。迷って当たり前である。

どうしようも無くうろうろと彷徨っていたら、


「あ!ここ、ハンプティーの部屋じゃない」


天の助けとばかりに「ハンプティー」と書かれたプラートを

掛けた部屋を見つけた。


ハンプティーが居れば案内して貰えると思い、部屋をノックする

しかし、返事は返ってこない。


(いないのかな)


もう一度部屋をノックする。それでも返事は無いので仕方なく

(また迷うハメになるのだが)ハンプティーの部屋から離れようとした。


ガシャーン!


「・・・!?」


突如、ハンプティーの部屋から何かが割れる音。


「ハンプティー!?いるの?どうしたの?」


いてもたってもいられず、返事を聴く前に部屋に転がり込んだ。

中は薄暗く、正直不気味だ。


足を進めていくと、ベッド近くでガラスのコップが割れて机から床に落ちているのを目視した。

液体が床に染みていることから水でも飲んでいたのだろうと当たりをつける。

名を呼ぶが返事は無い。


「やっ・・・!?」


不意に肩を掴まれる。そのまま押されアリスはベッドに倒れた。

押し倒されているのか、誰かが上にいる。


「ハ、ハンプティー・・?」


段々と闇に目が慣れていく。


赤い髪が見え、そのすぐ後、闇の中で光る黄の瞳と視線がぶつかり合う。

間違いなく、それはハンプティーだった。


「な、なに・・・?」


この組み敷かれる体制はまずい。

いくらアリスでもこれは羞恥に耐えられない。


「ハッ・・・まさか夜に、男の部屋に来て、何も無いと思ったわけじゃねぇよな?アリス」


喋り口調が違う。

ほくそ笑むようにアリスを押し倒している人物。

顔はハンプティーだ。でも、違う。


このヒトは、誰?



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