小話 その3
汗が頬をスーッと流れた。
緊張で、心臓が鼓動を早める。
剣を持つ右手に力がこもる。
今、下手に飛び出したら逃げられる。
しかし、いつまで経ってもこのままだと俺が保たないだろう。
何処かで一か八かの賭けに出なければ‥‥。
俺はゆっくりと息を吐くと、腰を落とした。
奴も来ると悟ったのか、此方の様子を伺っている。
この一撃に全てを賭ける‥。
俺は心の中でカウントを始める。
3、2、1‥‥。
全ての力を振り絞って、俺は駆け出した。
それと同時に、奴も隠れようと動いた。
そのスピードは凄まじく、俺が振りかぶった時には既に奴は逃げ場まで後少しという所まで動いていた。
このままでは、奴を逃してしまう。
しかし、ここで逃がすわけにはいかない。
俺は懸命に腕を伸ばし、奴に向かって剣を振り下ろした。
そして、ついに俺の剣は奴を捉えた。
しかし、奴はその程度では死なない。
だから俺は、左手に持っていた銃を奴に向かって放った。
奴は苦しみ、暴れていたが俺は気にしなかった。
ただひたすらに、銃を撃ちまくった。
その甲斐あってか、奴はそれ以降動く事はなかった。
奴を倒した俺は、達成感と疲労感に襲われてその場に崩れ落ちた。
泣きそうだった。
しかし、泣くわけにはいかない。
俺は奴の後始末を済ますと、本来の目的である水分補給とトイレを済まし、寝床へと戻ったのである。
皆さん、奴の正体分かりますよね(笑)
私も何度か相手をした事が有りますが、奴のスピードに毎度苦戦しています。
皆さんも、ゴキ‥‥ゴホン。奴には気をつけて下さいね!!