0.1 ひっそりとやっていることをばらしたくないのは人間の本能
ジャイアン と コーンで ジャイアントコーン
カチッ カチッと、マウスを左クリックする。
モニターに映る画面は、イラスト投稿サイト。
投稿画面に移ったのは良いが、階段のほうから嫌な足音がする。
咄嗟にカーソルを画面の左上に持っていく。画面を消した。
投稿の内容はまだ書いていなかったらある意味セーフ。
どうして俺がこんなに急いでるかって?そりゃもちろん、
「ゆーうーとっー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!遊ぼ!!」
こいつにばれたくないから。
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
只今現在、兄ちゃんに背後を捕られている。
兄ちゃんはニコニコしてるだけだし、俺はカーソル動かしてるだけだし。
これじゃ、投稿できない。
イラスト描く作業も進まないじゃん。
「ねえ。」
「はい?」
兄ちゃんが俺の首筋に顔をひっつけて、不意に話しかけてきた。
いきなりのことでびっくりしたが、なんとか堪える。
しんと静まり返った部屋には、マウスを動かす音が響く。
緊張してきた・・・。兄ちゃんは俺に何を・・。
「パソコンで何してるの?いっつもカーソル動かすだけ?」
「え。そんなこと!?あんだけ間空けといて!!無駄にきんちょーる・・、緊張したじゃんか!!」
いつもの調子の良い声で聞いてきたので、緊張が解けた。
背後を向いて兄ちゃんに怒鳴るが、嚙んだ。情けなさ過ぎる。
「ふふっ。可愛いね。」
「どこが・・・・・・・・・。」
呆れ半分に俺はそういう。でもそれは、照れ隠しで。
兄ちゃんの方が可愛いし・・。俺可愛くないし。生意気な弟だし。
少し頬を赤くした俺に、兄ちゃんが話しかける。
「で。パソコンで何やってるの?」
「はい?」
「だから、パソコンで何やってるの、って聞いてるの。」
きょとんとした顔で聞く兄ちゃん。俺は兄ちゃんをつくづくこう思う。
「空気読めやあああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」
俺はオレンジの色鉛筆さんと、選択ペンさんに婚約届けに判子押してもらう。