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涙の味のお米  作者: ストレッサー将軍
第1章 『出会い』
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第5話 大きなカブ

 さて皆さん、『大きなカブ』という童話をご存知ですか? 畑にできた大きなカブを引っこ抜こうとする人がいて、それを助けようとする人がどんどんやってきて、最終的に大人数でカブを引っこ抜くという、あれです。


「よーし、準備はいいか? いっせいのーで、で引っ張るぞ!!」


 今まさにその状況です。違いがあるとすれば大きなカブではなく、大きなババアであるということだけ。


 私はミセスブラウンに助けを求められてから、とりあえず近くを歩いていたサラリーマン、女子高生、ティッシュ配りの兄ちゃん、小太りの小学生、人の良さそうな老夫婦、外人など多くの人に助けを求めた。何人かには断られたけど、日本もまだまだ捨てたもんじゃないね。七人もの見ず知らずの人が手伝ってくれたよ。マジ、サンキュっす!


「いっせーのーで!!」


 サラリーマンのおじさんの号令とともに、私たちは力いっぱいミセスブラウンにくくりつけた縄を引っ張った。ちなみに縄は近くのコンビニで購入した。


「イデデデェ! 喰い込んでいるわよ! いっだいいいぃい!!」


 ミセスブラウンの悲痛の叫びを無視して、私達は縄をさらに強く引っ張った。


「くそ、だめか……」


 五分ほど引っ張り続けたが、ミセスブラウンを隙間から出すことはできなかった。


「ねぇ、今隣のビル揺れてなかった?」


 ミセスブラウンの巨漢に押された左右のビルが揺れている様に見えた。気のせいだろうか? さすがに人一人の摩擦力でこれだけ大きな建造物を動かすことは無理だろう。


「ちょっと待ってろ。コンビニで石鹸買ってくるから」


 ティッシュ配りの兄ちゃんが機転を利かし、石鹸を買いに行った。


「ちょっと、あんたたち! 痛いじゃないのよ!! もう、お肉の皮がむけているわよ! コンチクショウ!! もっとやさしくできないの!?」


 暴れるデブ。揺れるビル。やっぱり見間違えじゃなかった。このデブ、いったいどんだけ力を持っているんだ? ちょっと暴れただけで、まるで地震のようにビルを揺らせることができるなんて。


「買ってきたぞ」


 ティッシュ配りの兄ちゃんが石鹸を買って戻ってきたので、私達はミセスブラウンのお肉にたっぷりと石鹸を塗り、再び綱引きをすることにした。


「行きますよ。せーの」


 再びサラリーマンの号令でいっせいに綱を引く。するとどうだろう、


「すぽん!」


 という滑稽な音とともに、狭い路地からミセスブラウンが飛び出し、勢い余って歩道を超え、車道まで行き、車にひかれた。その漫画の様な一連の動きを、ぽかーんと見ていると、


「どどどおどどん!!!」


 巨大な崩壊音とともに、二棟のビルが崩れ落ちた。


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