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雨やどり
白い鳥が空を泳いでいた。
鈍色の空から雨が降っていた。
私は本を読んでいた。
この本を読むのは十五回目だった。
君はバスを待っていた。
時刻表は剥がれかけていた。
濡れた草木の匂いがしていた。
雲の隙間からお日様が顔を覗かせていた。
私の心は四角形だった。
きっと幼い頃は丸のままだった。
君のサイダーは微温くなっていた。
抜けた炭酸の乱反射に目が眩んでいた。
空には星が流れていた。
願い事は叶わない気がしていた。
私はバスを待っていた。
ベンチを指でなぞってみた。
君は遠くを眺めていた。
世界でいちばん綺麗だった。
また君に言えなかった。
今日は一日中雨だった。




