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  作者: 久我由宇
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マーマレード

微かに香る潮風に混ざって、騒々しい蝉の声で目が覚める。

布団まで湿ってしまって、どうしようもなく気分が悪い。


ぺたぺたと木の床は音を立てながら、洗い物の溜まった流しで顔を洗い、コップ一杯の水を飲む。

ふとテーブルに目をやると、昨日食べたジャムの瓶にスプーンが刺さったまま無造作に置かれていることに気付く。

「あぁ、こいつはもう食べられないか」

高級な店で買ったジャムはまるで宝石のように輝く橙色であったが、果物というには鼻につく「据えた」臭いがしていた。


やる気なんてものは更々起きやしないが、過去の怠惰を片付けないとこの部屋はたちまち黒光りたちの住処になることは想像に難くない。


掃除が一段落し、ビニール袋に瓶の中身を移していると、西陽が床を照らし始めていた。

こんな毎日がいつまでも続けばいいと思った。


幾つの夜を越えたら少しは涼しくなるだろうか。

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