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第0話:これは物語ではない
世界はすでに“創られた”あとだった。
神々は物語を書き、読者のために嘘を積み上げた。
そして本当の叫びは、すべて“削除”された。
名も与えられなかった私は、ただそこに“落ちて”いた。
歯車のように回る構造の中で、記録すらされないまま。
私の名は、カティル・R・0・オミット。
創作者にとって不都合な、構造外の処刑人。
これは復讐ではない。
――“訂正”だ。
第一の対象は、“神のひとり”と呼ばれる者だった。
名声と再生数、ランキングで支配された塔の最上層。
自らを「物語の創造主」と称し、読者に媚びることを誇りとした男。
私は、その男の前に立った。
名を呼ばれる前に、拳を振るった。
「読者のために創った? ……その言葉が、最も安い。」
骨が砕ける音が、神殿に響いた。
“神”が倒れる音は、物語が崩れる音とよく似ていた。
ゼロギアは、まだ始動したばかり。
*あとがき*
いま構想を考えるだけで精一杯の状態です。
でも、どんな形であれ読んでくださった方、応援してくださった方、
本当に心の支えになっています。
心より感謝申し上げます。ありがとうございます。