①古城潜入
「随分と簡単に入れたね」
シリアが周囲を確認しながら城門を潜る。
城門は異様な程に静寂さを保っていた。偵察に向かったサージンが、すぐに吊り橋を降ろす事に成功したが、あまりの警戒のなさに、相田達は罠の可能性を考慮しつつ慎重に城内に侵入した。
驚く事に、罠はどこにも張られていなかった。
「さっきの戦いで、敵は殆ど………?」
「油断はするな。奴らも馬鹿ではない」
拍子抜けしている相田に、デニスが釘を刺す。
城内はコの字型に建物が並ぶ造りだが、珍しい事に中央の建物には入口が見当たらなかった。
「隊長。左右の建物の二階に、中央に繋がる渡り廊下があるようですぜ」
ザイアスが親指を中央の建物に続く渡り廊下に向ける。
「よし、これより部隊を二つに分ける。一つは俺とザイアス、テヌールで敵の長を探す」
「それじゃぁ、自分と相田で生存者の捜索と救出ですね」
シリアの言葉にデニスが頷く。
「村人を発見しても、安全が確認できるまで無理に脱出させようとするな。せいぜい逃走路を確保するだけに留めろ」
安全が確認できないまま大勢で歩けば危険が高まる。当然の措置だった。
「よし、散開!」
デニス達が中央広場を抜けていく。そしてザイアスの大剣が扉を一撃で破壊すると、右の建物に侵入していく。
「よし、私達も行くよ」
「はい!」
続いて相田とシリアが広場を抜けて左の建物へと曲がり、割れた窓から建物の中に侵入する。足を踏み入れた場所は、かつて酒場だったらしく、朽ちてカビと苔に覆われた樽や、くすんだ空ビン、崩れかけたカウンターが視界に入っていく。
「誰もいませんね」
「隊長に言われただろう? 油断するなって。それに村人達が捕らわれているなら、恐らく地下だろう」
だが地下に続く入口は見当たらない。
だが探索の時間もこれまでと、部屋をぐるりと回る螺旋階段から、十数匹のゴブリン達が姿を現した。
「さぁいくよ、相田!」
「はい!」
飛び出すシリアの後に続き、相田も剣を抜いて走り込む。




