表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Lost12 優しき青年は、冷酷な魔の王になれるのか  作者: JHST
第一章 全てが終わった場所で
685/777

⑤父の仇

「仕方ありません。風が凌げる場所まで後退し、今日は野営をして様子を見ましょう」

 コルティが決断する。

 周囲もその決定に頷くと、リコルは後頭部を掻きながら突き刺さった剣に近付いていく。

「取り敢えず、約束通りここに来たと伝える為にも、魔剣(こいつ)は持って行こうか」

「え、ちょっ!」

 ケリケラが口を縦にして声を上げた。


「何だ?」

「いや、絶対呪われていると思うんだけど」

 ケリケラが眉をひそめ、触らない方が良いと暗に訴える。

 だがリコルは彼女の心配を鼻で笑い、親指で自分を指しながら胸を張った。

「お前な………これでも俺は元勇者だぞ? 確かに鎧の力を失ってはいるが、それでも呪い程度の耐性は備わっている」

 なぁ、と彼は妹に同意を求めるが、予想に反して、マキの表情はケリケラと同じであった。

「………止めた方が良い?」

「はい」

 素直にマキが頷く。

「彼の力は、それ程に恐ろしいものです。そして、大魔王もまた、私を生き返らせる程の力を持つ者です。何か明確な目的があるのであればともかく、取り合えず程度の理由であれば、例えお兄様でも触らない方がよろしいかと」

「………お前がそこまで言うのならば、止めておこう」

 リコルはバツが悪そうに、魔剣に背を向けて戻ってくる。


「………相田さんに、二度も負けてますしね」

「何だと?」

 彼が横に来たと同時に呟いたカレンの軽口に、リコルは一瞬だけだが厳しい目を彼女に送る。

「どういう意味だ?」「お兄様!?」

 カレンの前に立つと、リコルは視線を落として改めて睨み付けたが、それもすぐに自ら手で顔を覆い、拭うように手を降ろす。

「………いや、気にしないでくれ」

「う、うん。私も………ごめん、なさい」

 息が止まっていた事に今気付き、カレンは視線を泳がせながら大きく深呼吸を始めた。

 カレンも同年代では強い枠に入るとはいえ、勇者と比べれば力の差は歴然である。さらに言えば、父親や大切な仲間達を殺された彼女としても、リコルや妹のマキ、特に兄の方との距離感に戸惑う事が多く、気が付けば先程のように、彼女らしからぬ言葉が出る事もあった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ