③塵は塵へ
「かか………その手は、コルティか」
躯から声が漏れる。僅かながら頭骨の目の溝に黒い光が点滅する。
「っ!?」
全員が驚いた。
「ラハーム!? それともラフーム!? あなた達、生きていたの!?」
「お、お父さんは!? お父さんは、どうなったの!?」
コルティとケリケラが席を切ったように声を荒げた。
「ケリケラも………いるのか。それと………その魂の色は………そうか、生き返ったのか、お嬢ちゃん」
二つの頭骨が小さく震え、砂を落としながら笑う。
最早、あの頃の覇気は全く感じられず、風前の灯火である事は誰の目にも明白だった。
「お礼を、言った方が良いのでしょうか」
彼等に殺され、魂を奪われていたたマキが一歩前に出る。
「………礼なら、実際に生き返らせたあいつに言うんだな」
「我らは貴様の魂があまりに旨そうだったからな。単に持っていただけよ。こんな事になるなら、さっさと喰っておけば良かったぜ」
食べ損ねたと冗談を交えて再び笑うと、ラフームの唯一残っていた腕が砂となって崩れた。
「それで………あぁ、大将の事………だった、か」
自身が崩れている事に全く意に介していないラハームの言葉に、コルティ達が頷く。だが、ラハームもラフームも瞳の光が激しく点滅しはじめ、言葉も途切れ途切れになり始める。
「ラハーム! ラフーム!」
「お願い! もう少しだけ頑張って! お父さんは、今どこにいるの!?」
コルティとケリケラの必死の声に、カレン達は声をかける隙も、彼女達の間に挟み込めるだけの余地もなかった。言葉だけでも、二人にとって彼がどれだけ大切な存在なのかが伝わってくる。
「………我ら、破壊と殺戮の………双子竜。俺は兄のラハーム」
「弟の、ラフーム」
だが二人の声も虚しく、双子竜は個を保っていた骨格から白い砂が零れ始め、その体を崩していった。
「待って、まだ逝かないで下さい!」
コルティが骨格を支えようとするも、触れた所から骨は砂となって指の間をすり抜けて大地へと還っていく。
「「中々に………楽しかったぜ………あばよ」」
その言葉にいつもの笑い声を添えながら、最後の砂は空気中へと舞い散りった。
恐怖の象徴を大陸中に響かせた双子竜はここに消滅した。
「手がかりが………」
コルティが砂を抱きしめながら膝をつく。
「コルティ………前を」
そこにカレンが前を指さした。
コルティが涙目のまま前を向くと、そこには大地に突き刺さる黒い剣が静かに立っていた。




