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Lost12 優しき青年は、冷酷な魔の王になれるのか  作者: JHST
第七部 闇と共に去りぬ
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②三ヶ月

「クレアさん………行きたがってましたね」

「えぇ、ですが仕方ありません。今やあの人は、()カデリア領の復興にとって、なくてはならない方となったのですから」

 この戦争において、唯一大貴族の中で生き残っていたクレアは、戦死したバージル家当主の後を継ぎ、ウィンフォス王国の首脳陣と共に、戦後処理について検討し合っていた。

 既にカデリア王国は決定権を持つ王がおらず、かなり一方的でなし崩し的な処置ではあったが、ウィンフォス王国は、彼女をカデリア王国の代理として公認し、交渉における全権が与えられた。併せて、シモノフの大関所に留められているカデリア王国からの大量の難民達の管理も急務となっており、そちらは()勇者のリコルと妹のマキが自ら担当を名乗り出て、事に当たっている。



「もう三ヶ月、だけどまだ三ヶ月………か」

「ええ。本当に」

 顔を合わせずとも、コルティもカレンも、互いに同じ表情に落ち着く。

 救国の英雄となったデニスの娘であるカレンは、ブレイダス攻城戦に参加。重傷を負うも一命を取り留め、シモノフの大関所跡で数日間療養、その後は王都へと搬送され、病院の窓からウィンフォスの街が復興していく様子を、自分の無力さに圧し潰されそうな苦悩と共に見届けていた。

 コルティは、魔王軍の全権代理を任されているシュタインと共に、混乱していた魔王軍を再結集させると、各部族の集落付近で随時解散させ、王都に着く頃には、数百にも満たない集団となっていた。

 既に魔王軍という名前は公的に存在しないが、解散後も、シュタイン達を中心に、王国との契約に基づき、その履行と今後の人間との共存について話し合いを始めている。そして、専門の委員会を結成し、コルティは亜人と人間、両者の窓口兼相談役としての任を受けていた。


 そして一日が過ぎ、一週間、一か月が過ぎ、、今日こそ帰って来ると信じ、彼女はカレンの家で主人の帰還を待ち続けてきた。

 だが、未だその望みは叶っていない。

 魔王軍の首領にして、魔王の名を持つ相田の消息が断ち、既に三ヶ月が経っていた。


 過去を振り返る中、コルティは空に影を見つける。

「カレンさん、ケリケラが戻って来ましたよ」

「本当ですか!?」

 コルティが空を指さし、カレンが手綱を持つ彼女の後ろから体を乗り出した。

「あ! マキさん達も戻ってきましたね。おーい!」

 馬を走らせながら戻って来る二つの影に向かって、カレンは大袈裟に手を振った。

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