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⑤星が墜ちた日

 二人の間にある黒い盾(アイギス)が、黒の波動から相田を守っていた。

「何度も見せるべきじゃなかったな………もう、見慣れちまったよ」

 相田はゆっくりと魔剣(エビルカリバー)を逆手に持ち帰ると、作業的にアスタロッテの左足の甲目がけ、地面ごと突き刺した。

「あぐうぁっ!」

 出血はないが、少女らしい声を上げ、アスタロッテが苦悶の顔を生み出す。

「これで、逃げられない」

 最早、相田の言葉は独り言に近かった。


「こ、この程度の怪我など!」

 アスタロッテは自らの足に刺さった魔剣を引き抜こうとしたが、どんなに力を込めても、まるで剣自身が持ち主を否定するかのようにびくともしなかった。

「な、何故だ! 何故抜けぬ!?」

「当たり前だ。呪われた武器がそう簡単に抜けてたまるか」

 呪いの武具は装備から外せない。相田の能力は、持ち主の武具にまで作用するようになっていた。

 相田はツヴァイールから預かった刀を抜刀し、魔剣を握っていたアスタロッテの左腕を切断する。

「ぐぅっ!」

 腕を失った勢いで後ろへと姿勢が崩れそうになった少女の胸倉を、相田が掴み取る。


「貴様、一体………何の真似だ?」

 アスタロッテは未だ相田の行動の答えを導き出せていなかった。

「何の真似? もう言う必要もないだろうよ?」

 相田は首を傾げると一瞬視線を外すが、すぐに正面を向き直すなりアスタロッテの顔面に向かって頭突きを放つ。

「がはぁっ!」

「あいつの………俺の自慢の弟子の服を真似やがって」

 相田の目に力が戻っていく。

「言ったよな? あいつが死んだら俺はブチ切れる。更地にしてでも俺はお前を殺す。今更、楽に死ねると思うなよ?」

「ひっ」

 アスタロッテから息を引く音が漏れた。

 この瞬間、相田はついに古の魔王の全てを上回った。


 相田は彼女を掴んだまま、天頂に向かって残った腕を伸ばし、さらに指差した。

 古代文明、異次元の魔神と呼ばれた存在は、短く単純で簡単な言葉から放たれる魔法でありながら、その絶大な威力によって、主人公達は多くの仲間を失い、絶望を与えられた。

 相田はそれを再現しようと口が小さく開いていく。


「りゅうせい」


 夕暮れに似合わず、空に無数の光が輝き始めた。

 アスタロッテはその正体に気付く。

「き、貴様も死ぬぞつ!」

「さぁ、どっちが生き残るかな? かかかかっ!」

 恐怖に満ちたアスタロッテ、空を見ながら笑い続ける相田。

 

―――数秒後。

 ブレイダスの街は、無数のクレーターとなって消滅した。



第六部「ブレイダス攻城戦」完

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