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③あと五分

「躯を召喚する事で、吾を構成する源をその贄としたか。ふん、相変わらず世の理を悉く無視する」

 アスタロッテは、子どもの様に縮んだ自分の体を舐めるように確認すると、小さく頷く。

「かなりの魔力を奪われたが、まだ貴様達を消滅させるには十分な量は残っておるぞ」

 何度も手を握り、アスタロッテは相田に服を見せつけた。

「気付いたか? あの憎らしい白兎の服を模してみたのだが………ふむ、その顔からして随分と満足してもらえたようだ」

 皮肉を込めて笑うと、アスタロッテは短くなった右手を空へと向ける。

「さて、貴様達と戯れるのもほとほと疲れ飽きた。これで終いにしよう」

 空から、瓦礫のあらゆる所から、生き残った怪物達が姿を現し、相田達を取り囲んだ。


「がははははははは! 成程。時間稼ぎか」

 兄のラハームが理解すると、今まで我慢していたかのように笑い出した。

「ああ。五分、いや三分だけでいい」

 目を瞑りながら体を揺らし、相田もその笑いに乗る。

「頼めるか?」

 改めて聞き直した。

「頼むも何も、俺達は殺しが楽しめれば、それで満足だ! だはははははは!」

 ラフームも笑い始める。


 双子竜は相田の左右で背中を合わせると両手の武器を地面に突き刺し、骨だけの腕を組んだ。

「我ら破壊と殺戮の双子竜。兄のラハーム。ならば我らの名に懸けて」

「弟のラフーム。さぁ、五分でどれだけ殺せるか? 試してみよう!」

 相田は二人に小さく感謝の言葉を呟くと、アスタロッテに向かって歩き始めた。

「さぁ、さぁ! 死ぬには良い日だぁぁぁぁぁぁ!! がははははははははっ!!」

「兄者! もう俺達は死んでいるぞ! がははははっは!」

 怪物達が一斉に襲い掛かる。

 双子竜も武器を握り、群れの中に突貫した。


「何をするつもりだ」

 アスタロッテは、何かを唱える訳でもなく、何かを構える事もなく、淡々と歩き、近付いて来る相田を凝視しながら、不愉快と困惑が入り混じった表情を見せる。

 幼い形として姿が変わったが、未だ魔力に十分な量がある事に嘘はない。そして彼女からして見て、相田の左右で暴れている二体の不死者の実力は侮れないものの、数百を超える怪物達の相手で手一杯に見えていた。

 翻って、引きずる様な歩き方からして、相田に残された力はそう多くはない。アスタロッテはそこまで冷静に客観視してもなお、近付いて来る男の考えが理解できなかった。

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