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②魔王は何度でも蘇る

 双子竜を呼びかけた辺りから、激しい頭痛が相田を襲う。目を瞑っても、鈍痛がまるで鐘の音のような振動となって、集中力を奪おうと画策してくる。それはまるで、これ以上の力の酷使を、相田の体が本能的に防ごうとしている無意識の信号のようでもあった。

「もう少し! もう少しでいい! 耐えてくれ!」

 相田は胸当ての上から心臓の位置する部分を何度も叩き、自分に檄を飛ばす。


 双子竜が無事に具現化された。

「よぉ、大将。このまま呼ばれないまま終わるかと思ったぜ」

 兄のラハームが肩の骨をすくめる。

「何だ何だ。随分と死にかけているじゃねぇか! どっちもよぉ!」

 弟のラフームが、骨の音を鳴らして笑っていた。

 だが、いつもの馬鹿笑いもすぐに収まると、双子竜の声はいつになく低く、落ち着きを維持する。

 そして周囲を見渡し、剣の内側からでは把握できなかった状況の残りを正確に読み取った。

「成程、悪くねぇ作戦だ………だが、あのババァの材料を全て使うには至れなかったらしいな」

「そうだな兄者。あの女は俺達と同じ時代の化石だ。それで大将、これからどうするつもりだ?」

 残った黒い粒子は仲間を求め合うかのように集まり始め、渦を巻いている。双子竜を召喚する為に、かなりの量を消費したとはいえ、残っている粒子の量は決して油断できない量であった。


「おい、大将」

 兄の声が大きくなる。

「ん? あ、あぁ、大丈夫。()()()かなり聞こえているさ」

「………ったく。しっかりしてくれや」

(わり)(わり)ぃ」

 剣に体重の殆どでもたれかかりながら、一瞬意識が遠のいていたが、相田は乾いた笑みでそれを誤魔化した。

「対策はまだある。二人には邪魔が入らないように、時間を稼いで欲しい」


 黒い粒子が、アスタロッテの身長程ではないが、人の形を作り始める。


 双子竜が、相田からの単純な指示に頭骨を向き合わせた。

「………それだけで良いんだな?」

「いいんだ。頼めるか?」

 何だったら倒してしまっても構わない。相田は冗談を付け加えると、魔剣(エビルカリバー)を地面から抜き取り、震える手で鞘に収める。


 黒い粒子は漆黒の服を纏った少女へと姿を変えていた。

 黒い髪は腰まで長く、見かけによらない妖美さと深い印象を与えてくる。色こそ違うが、フォーネと同じ退魔服を纏い、白い肌の少女は無機質な表情で相田を睨む。

 

 アスタロッテが再び復活した。

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