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Lost12 優しき青年は、冷酷な魔の王になれるのか  作者: JHST
第十三章 最期の試練
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⑤鋼鉄の咆哮

「な、何だそれはっ!?」

 技術的に千年以上先の兵器を知る由もなく、唯々異様ともいえる鋼の機構の塊を片手で持ち上げた相田に、流石のアスタロッテも戸惑いを隠せなかった。

「知らないか? 知らないだろうなぁ。かく言う俺も外見だけしか知らねぇが………ガーネットの魂、確実に食らってもらうぜ」

 到底人間が持てる大きさと質量ではない巨大な高射砲は、相田の周囲に展開していた赤い粒子が菌糸のように相田の両足と地面、そして腕と高射砲を支えるように繋がり始め、広がり、柔軟性を保ちながらも姿勢を固定させていく。

 全身の筋肉が軋む中、相田の体に高射砲の中で何かが装弾される音が振動へと変わり、何度もゆっくりと響くように届けられた。

「………どのような魔法か、はたまた技かは知らぬが、それだけの大技、その反動も生じる隙も馬鹿にできまいて。防ぎきれば吾の勝ちじゃ」

 何かを射出する絡繰りだと理解したアスタロッテは、相田の前に三枚の黒い壁を築く。


「いや、俺の勝ちだ」

 相手が守勢に移行した事で、相田はの能力が更に影響を受ける。

「いくぞぉっ!」

 引き金はない。だが、相田は代わりにと高射砲と一体化した中で拳を強く握ると、砲塔は凄まじい衝撃と共に白煙を舞き上げた。同時に砲身のみが後方へと下がり、真紅の薬莢が排出される。

「ぐぎぎぎぎっ!」

 相田にかかる反動も相当なものだった。

 自分自身が体勢を崩してしまわないよう、地面に対して砲身を水平に構え、赤い菌糸で地面と固定された両足を踏ん張ってもなお、菌糸を引き千切り、数メートル後方へと石畳と地面を割ってようやく止まることができた。


「ぬぅっ!?」

 至近距離で砲弾の直撃を受けたアスタロッテもただでは済まなかった。

 先頭の黒い壁に衝突した弾頭は大爆発を起こし、炎と黒煙を上げて一枚目の壁を瞬間で粉砕させる。

 アスタロッテは爆風にさらされながらも、飛び込んでくる砲弾に対して二枚目の壁を咄嗟に右に傾け、勢いを反らそうと試みた。それでも二枚目の壁すらも高速で回転する砲弾を抑えきれずに削り取られ、引き千切った粘土板のように半壊させた。

「………何という出鱈目さよ」

 二枚目と同様に、角度を付けていた三枚目だったが、それを犠牲にし、ようやく弾頭を反らす事に成功する。

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