①師弟共闘
言葉を挟んでこないと見極めたアスタロッテが、フォーネ、続いて相田へと視線を向ける。
「お前達人間はどうなのだ? 己の短所や癖をどうやって治す? 良ければ教えてくれないか?」
右手を軽く空に向け、『さぁ』と言葉を投げようと構えていた。
しかし、彼女の口が僅かの間に閉じ、その投げかけが形式だけだと目を細める。
「―――お前達を殺す前に」
「………っ!」
相田は顎を引いて黙る事に徹した。
真の強者には、共通した語源録でもあるのだろうか。定型的な言葉であっても、限られた者が口にした場合のみ発する事ができる圧が生じる。それは空気でもなく、波でもなく、言葉では決して形容できない純粋な殺気であった。
それでも今の相田にとっては、決して退く事が許されない。卒倒しそうな圧に耐えようと必死に唇を噛みしめ、静かに全身を抜けて行く恐怖に表情のみで耐えきった。
体力を温存させる為、ギリギリまで伏していたフォーネがここで立ち上がる。
それを相田はサインと見なした。
「行くぞぉぉぉぉっ! フォーネ!」
「はい、ししょーっ!!」
勝負を賭けるしかない。相田は大きく一歩を踏み出した。
「………来るがいい。お前達のいう三撃、その全てを受け止めれば吾の勝ちぞ」
アスタロッテは扇を広げた。
「「まずは、おさらいからっ!!」」
相田とフォーネが、左右互いに分かれながら、中心にいる魔王を目指す。
対するアスタロッテは、後方に数歩分側面に跳ぶ事で、自分を中心に相田とフォーネが直線状に並ぶように仕向けた。
「この状態では、貴様は大技を撃てまい。撃てば白兎に―――」
「ホーリークロス!!」
相田は両手から光を解き放った。
「何じゃとっ!?」
予想外の行動に驚きつつも、アスタロッテは咄嗟に扇を突き出し、閃光を左右に裂く。
「私の拳が怒りに燃えるっ!」
フォーネの動きは止まる事無く、全速力で彼女にアスタロッテに迫っていた。
「そこまで計算したか。我が二つに裂くと」
彼女が残った左腕をフォーネに向けr、黒い壁を作り出す。
「壁をぶん殴れと、ししょーが叫ぶぅっ!」
フォーネの右拳が大きく振り上がる。
「「ひっさぁぁぁぁつ!!」」
「ごっど・ぱーーんち!」
初めにフォーネが黒い壁に向かって大きく振りかぶった拳を打ち放った。分厚い鉄板を殴りつけた時と同じ低い衝撃音と共に、空気と黒い壁が水面を作りながら前後に広がっていく。
「サンダーキィィィィック!」
続いて、縮地で上空へと飛び上がっていた相田が右足を帯電させながら、ほぼ垂直の角度で落下する。超巨大ロボットが、遥かに巨大な敵性生物達を次々と打ち抜いていく技を想像し、重力以上の加速度を得た点となって一筋を描く。




