表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Lost12 優しき青年は、冷酷な魔の王になれるのか  作者: JHST
第三章 過去の英雄は魔王に挑む
539/597

①二枚目

「見えたぞ! 二枚目だ!」

 王都の中央区に繋がる二枚目の鋼鉄門が、相田達の視界に入る。門の前では既に重装歩兵が横隊を組み、左右に広がる通りでは軽歩兵と弓兵が大口を開けて構えていた。


「先行します!」

 左右の商店街を抜けた事で余裕が出来たベルゲン達が、先行して左右の弓兵を叩きに向かう。

「待て、ベルゲン!」

 相田もすぐに声を上げたが、既に城壁の上から何本ものの炎の矢や球が次々と吐き出されていった。

 城壁に対して側面を向けていたベルゲンを含めた飛行隊の三割が魔法の直撃を受け、門の前、敵の範囲網の中心に墜落する。

「魔法使いをここで投入してきたかっ!」

 数こそ少ないが、遠距離から高威力の魔法を叩き込める部隊の投入は戦場において、重要な意味をもつ。


 落下したベルゲン達に向かって、門の前の兵士達が動き出した。ベルゲン達は落下地点で、生き残った数人の小鬼(ゴブリン)達が、仲間の死骸を盾にしながら手持ちの鉄砲(タネガシマ)で敵兵を狙い撃つが、狙う数に対して残弾と連射の性能が追い付かない。

 距離にして凡そ百メートル。人間の足では到底間に合わない。

「ベルゲン! くそぉっ!」

 仲間を失う訳にはいかない。相田はケリケラとフォーネの名を呼んだ。

「お前達、行けるな!?」

「行けるよ! お父さん!」「訓練の成果ですぞぉっ!」

 ケリケラが、自身が魔方陣の中心となって魔法効果増幅(ブースター)を発動させる。

「フォーネ! 速度増加(スピードアップ)!」

「あざます!」

 相田に身体能力向上の魔法は効果がない。ケリケラは自身とフォーネの二人に増幅効果がかかった魔法を乗せた。

「行くぞっ!」

 相田は地面を強く蹴って縮地を発動、一秒後には包囲されかけていたベルゲン達の前に姿を現し、軽歩兵の一撃を黒い盾(アイギス)で受け止めていた。


「ま、魔王様………申し訳ありません」

 片翼の折れたベルゲンが、血を混ぜた咳と共に謝罪の言葉を絞り出す。

「んなこと、言っている場合かっ!」

 相手の剣を黒い盾で防ぎながら、相田は正面の軽歩兵の胴を魔剣で薙ぐ。薄い金属鎧は紙や布を破くように肉体ごと両断し、大量の血液と臓物を陰に落としながら目の前の人間が上半身から先に落ち、遅れるように下半身が石畳の上に崩れた。

「フォーネもいるぞぉ!」

 数秒遅れてフォーネとケリケラが到着。フォーネはベルゲン達を挟んで相田の背中を守るように立つと、手の届く範囲の敵兵を目にも見えない速さで拳を叩き込み、全員を身長以上に打ち上げた。

「ツイン・トルネイド!」

 一度の増幅効果に乗せられる魔法は三発まで。相田とフォーネの中心で羽ばたいたケリケラは、最後の一回を竜巻に乗せ、左右から迫っていた軽歩兵と弓兵を地面を削るように奥へと動かしながら一斉に吹き飛ばす。


 残るは鋼鉄門の前で慄いている重装歩兵のみ。

「遅い!」

 相田は縮地で重装歩兵の間合い、門を見上げる程の距離に辿り着くと、既に稲妻を纏わせていた魔剣を両手で握りながら刀身を伸ばし、敵兵ごと鋼鉄門を左斜めから両断した。

「ふたぁぁぁぁぁぁぁつ!」

 凄まじい衝撃と放電が周囲を巻き込み、重装歩兵を感電死または黒炭化させつつ、鋼鉄門を瓦礫の山へと変える。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ