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④起死回生の一手
「ば、化物め」
必死に言葉を吐くも、既にパーカス王の顔は真っ白である。
「あら、女性に向けてのそのお言葉は、だいぶ品性に欠けますわ」
立場が明確化した表情を見る事ができた女学生は、十分に満足した笑顔に戻ると、王を握っていた手をあっさりと緩め、強めに突き放した。
「うっ、うおおおぉぉぉぉ!」
後ろに倒されながら、思わず王が両手を仰ぎながら叫ぶ。
だが、王の体は一つにまとまっていた。
「あ、もう動いても大丈夫ですよ」
翠の髪の女学生は、手のひらで口元を隠しながら意地悪く笑っている。
王は彼女のふざけた行為にすら、怒る事ができなかった。
「………一体どうすればいい? どうすれば奴らに勝てる!?」
最早手段は選んではいられない。パーカス王の絶望とすがるような感情が渦を巻く言葉に、女学生は口元を緩める。
「仕方ありませんね。では、あくまでも個人的なご提案としてお伝えさせて頂きます」
そして予め用意していた言葉を紡ぎ始めた。
それが彼女にとっての本命。今までのやり取りは、全て茶番である。
「地下に眠る黒を………そうすれば、まだ勝機はあるかもしれません」




