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Lost12 優しき青年は、冷酷な魔の王になれるのか  作者: JHST
【第六部】ブレイダス攻城戦
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④起死回生の一手

「ば、化物め」

 必死に言葉を吐くも、既にパーカス王の顔は真っ白である。

「あら、女性に向けてのそのお言葉は、だいぶ品性に欠けますわ」

 立場が明確化した表情を見る事ができた女学生は、十分に満足した笑顔に戻ると、王を握っていた手をあっさりと緩め、強めに突き放した。

「うっ、うおおおぉぉぉぉ!」

 後ろに倒されながら、思わず王が両手を仰ぎながら叫ぶ。


 だが、王の体は一つにまとまっていた。


「あ、もう動いても大丈夫ですよ」

 翠の髪の女学生は、手のひらで口元を隠しながら意地悪く笑っている。

 王は彼女のふざけた行為にすら、怒る事ができなかった。


「………一体どうすればいい? どうすれば奴らに勝てる!?」

 最早手段は選んではいられない。パーカス王の絶望とすがるような感情が渦を巻く言葉に、女学生は口元を緩める。

「仕方ありませんね。では、あくまでも個人的なご提案としてお伝えさせて頂きます」

 そして予め用意していた言葉を紡ぎ始めた。

 それが彼女にとっての本命。今までのやり取りは、全て茶番である。


「地下に眠る黒を………そうすれば、まだ勝機はあるかもしれません」

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