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Lost12 優しき青年は、冷酷な魔の王になれるのか  作者: JHST
第九章 魔王が降る日
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⑤反撃の刻

「………ちなみに、相田く………ゴホン。いや、魔王殿。君の隣に立っている大きな骨の御方は………どちら様だい?」

 ロデリウスは相田の左右に立つ巨大な竜の骨格を指さす。


 今まで無言だった骨が振動し、笑いながら動き出した。

「がはははははは! よくぞ聞いてくれた! 何だかんだと聞かれたら、答えてやるのが世の情け!」

 二体の骨が全身で乾いた音を震わせながら、声帯のない体で笑い始めた。

「俺達は泣く子も死ぬと言われる 殺戮と破壊の双子竜! 弟のぉ、ラフーム!」

「兄のラハーム! いやぁ、お嬢さん、お宅の御先祖さんには随分と世話になったぜ! どわははははははは!」

 巨大な大剣と斧を地面に差し込み、何度も笑っている。

「あ、フォーネもここにいるぞ!」

 まだ紹介されていなかったフォーネが、双子竜の間に立って猛烈に自身をアピールする。


「………ふぅ」

 ロデリウスがその場で後ろへと倒れる。

「ロデリウスーーーー!」

 相田は急いで彼の下に向かったが、リリアも笑顔のままよろめき、倒れてしまった。

「り、リリアーーーーっ!」

 一体、双子竜の恐ろしさは、どれだけ伝わっているのか。二人が卒倒する程だと、相田は考えをさらに改める事を強制された。



 こうして、魔王軍の結成および観兵式は宰相、女王共が倒れたまま終了した。

 その場に立ち会った蛮族達からは、後に魔王の威厳のみでウィンフォス王国の宰相と女王を卒倒させたと囁かれ、さらに魔王は二人を呼び捨てにできる立場にある事が勝手に広まり、魔王としての器の大きさと本物さをさらに高める材料となった。


 これで、ウィンフォス王国はカデリア王国に侵攻する戦力と大義名分を手にした。

 ウィンフォス王国からは、リバス騎士総長、シュリッツ騎士団長、ロデリウス宰相率いる再編成された白凰、金竜の二個騎士団が約二千、そしてカレンも参加している各街からの義勇兵が約千名。

 相田率いる蛮族で構成された魔王軍が約一万弱。

 その他、輜重、医療等を含めた合計約二万人に及ぶ大軍勢が、事前に打ち合わせた日程に合わせて各地から出発した。


 一度きりの大勝負。これ以上の戦力補充は出来ない。

 負ければ次はなく、ウィンフォス王国は滅びの道を確実に転げ落ちるだけとなる。

 カデリア王国への反抗戦。これが、ウィンフォス王国が出す事ができる最初にして最後、最大の総力戦であった。

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