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⑤責任問題

「………御無礼をお許しください。パーカス陛下」

 天井から隠れていたシリアが降りてくる。彼女は衛士達に警戒されながらも、その場でパーカス王に向かって膝をつき頭を下げた。

「私はウィンフォス王国第十騎士団の副団長を務めているシリアと申します。この度は、陛下の御親近をお騒がせ致しました事、平に申し訳御座いません」

 シリアは自分達がこの場にいた理由を、リリア王女暗殺の報が届き、人知れず警護に当たっていた為だと説明した。


 彼女の言葉に、パーカス王は顎を触りながらも最後まで冷静に聞いた上で、持っていた公文書をシリアにも見せつける。

「成程。その説明ならば筋は立つ。承諾なく他国の式典に忍び込んでいた事は、甚だ不愉快ではあるがな………だが、この書面はどう説明する?」

「それは………我々も存じません」

「それを信じよと?」

「は、何卒」

 彼女の謝罪と説明に、王は悩むような素振りで腕を組む。だがすぐに、何かに納得したのか、小さく頷き始めた。

「よかろう、貴様の言葉を一先ず信じるとよう」

「………お聞き入れ頂き、有難う御座います。陛下」

 意外と簡単に互いの理解が進む。

 

 だが、パーカス王はリリアの近くにあった椅子の肘掛け手をつき、体を傾けた。

「しかし、どのような事情であれ、ウィンフォス王国が我が国の重要で、伝統ある式典を妨害した事になったのは事実。そうでありましょう? リリア王女」

 完全な言いがかりだった。

 相田達がいた事と、暗殺者がウィンフォス王国の公文書を持っていた事には、何の接点もない。

 王に尋ねられたリリアは目を瞑ると、ゆっくりと口を開いた。

「………そう、ですね。発端はどうであれ、結果として貴国の伝統ある式典を中断させてしまった事は事実でありましょう」

「流石は王女殿下。話が早くて助かります」

 パーカス王は、視線を下げ続けるシリアの横を無視するように通り過ぎると、そのまま自分の玉座に座り足を組む。

 そして、まるで家臣を相手にするように自分の足元を指さし、リリアに声をかけた

「正式に謝罪をしてもらえますか?」


「………そんなバカな! そんな事ってあるかよ!」

 相田が声を荒げ、足を一歩踏み出した。

 周囲の兵達が金属音を激しく立て、持っている武器の先端を相田に向ける。

 だが相田はそれらを無視し、パーカス王に向かって声を荒げ続けた。

「暗殺者がそんな書面を持ったまま仕事をしますか? 馬鹿馬鹿しい! そもそも書面だって本物とは限らない。どうせ偽物に決まってますよっ!」

 どうやって書面を本物だと証明するのか。相田はもっともらしく王の言葉に反論する。

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