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Lost12 優しき青年は、冷酷な魔の王になれるのか  作者: JHST
第四章 歯車は互いに踊る
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②冗談・・・

「いらっしゃい」

 店主はご機嫌らしく、貧しい革装備の相田にも愛想よく挨拶をしてくれた。

 相田は店内を見渡し、ド・ゴールの文字を探す。店の外から見えた装備も立派だったが、中に置かれた武具も値段は高いが質の良い品が並べられている。

 だが目的の文字は見つからなかった。

 仕方なく相田は店主に尋ねようと近付く。

「すみません、ド・ゴール製の武器を探しているんですが………」

「えぇ! あ、あなたもですか!?」

 陽気だった店主の顔が、一気に驚き、焦り、困った表情へと順々に変貌する。

 だが、ド・ゴールという名は存在していた。


「やっぱり、手に入らない物なんですかねぇ」

 実は故郷の女の子に土産を頼まれたと相田は簡単に事情を説明すると、店主の顔が嘘のように笑い出し、そして呆れたように説明してくれた。

「お客さん、それは女の子に揶揄からかわれたんだよ。え、知らないのかい? ド・ゴールの武器って言ったら伝説の刀匠ド・ゴールが1一年に数本だけ打った剣で、その中でも気紛れで売られた物だけが世に流れる逸品ものだよ。値段だって簡単につけられない程さ!」


 久々にカレンを思い出し、相田は一杯食わされたと乾いて笑うしかなかった。


「だけど兄さんも運がないねぇ、今さっき本物のド・ゴールの剣が売れたんだよ。もう少し早く来れば、見るだけでもできただろうにねぇ」

 店主の顔が再びご機嫌の顔に戻る。

 相田はもしかして、と店主に尋ねた。

「さっきの僧侶と一緒にいた若い戦士の人ですか?」

「そうそう。彼とは随分前から交渉していてね。私も世界中を回ってようやく手に入れた逸品だったんだ」

 その分良い値段で売れたと、ついに店主は我慢できずに笑い出した。

 どうやら一足遅かったらしい。


 店を出ると、太陽が西に傾いていた。

「………はぁ、疲れた」

 相田は、サジーンの露店まで戻る事にした。

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