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Lost12 優しき青年は、冷酷な魔の王になれるのか  作者: JHST
第三章 夢見る魔法少女じゃいられない
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⑥疑惑の判定

「お兄さーん。もしかして魔法が使えるのに初心者級に入ったわね?」

 困惑している女子学生に代わり、先程入口の幕を上げていた眼鏡とお下げという某委員長風魔法使いの女子学生が声をかけてきた。


「え、もしかして駄目なの? そんな事一言もなかったけど………」

 相田は眼鏡の魔法使いに、自信のない声で言い返す。対する彼女は、『ダメじゃないけれど』と、一瞬顎を引いて言葉を詰まらせたが、すぐに中級者コースに挑戦してみないかと作った笑顔で誘ってきた。

 中級者コースの参加料は銀貨十枚。払えない金額ではないが、簡単に了承できる額でもない。だが彼女は今回は特別だと、初心者コースで支払った参加料で受けられると補足した為、相田は渋々と承諾させられた。


 隣のレーンに移動させられた相田は、中級者の二番コースに立たされる。

「じゃ、中級者コース! 行ってみよう!」

 眼鏡の女子学生が、拳を高々と上げる合図で目標の人形が起き上がった。

 中級者コースの目標は藁人形から、木製の人形へと変わっていた。距離は変わらないままだが、燃えづらい材料になっているという点では、難易度が上がっている。


「中途半端に燃えて難癖をつけられるのは嫌だな」

 先程と同じく、相田が右手を構える。そして木が燃えるイメージを思い浮かべながら人形を睨みつけた。

「………フレイムショット!」

 指先から炎の玉が放たれる。

 炎は目標に直撃し、木の人形が勢いよく燃え上がった。後ろで見物していた参加者達も、連続の成功に再び声を上げる。

「よーし、これで文句ないだろう?」

「………そんな………ありえない」

 相田は両手を開いて司会役の女子生徒に確認を取るが、彼女は大袈裟と見て取れる程に驚いていた。

 木製だって立派な可燃物。それ程おかしな事なのだろうかと相田は口を尖らせ、眉をひそめる。初心者程ではないが、中級者に参加した何人かは成功している。

 だが、眼鏡の女子学生は先程の少女と同じようにスカートから紙切れを覗き、何度も見返していた。


「あら、お兄さん、困るわぁ。そんなに力があるのに初めから初心者に挑むなんて」

 同じ展開が三度(みたび)

 今度はもはや学生なのか、大人の色気をこれでもかと滲み出している金髪巨乳魔法使いが、はち切れんばかり太ももを擦り合わせるように交互に動かし、相田の後ろから声をかけてきた。口元の小さなほくろがまた何とも堪らない。

「………またですか」

 自分は何も悪い事をしてないと、さすがの相田も肩を落とす。

 相田は今回の報酬は初心者と同じでよいと、遠回し的に辞退を申し入れたが、半ば強引に上級者のコースへと誘われてしまった。

 気が付けば他の参加者達は解散させられ、相田を囲むように大小様々な女子学生達が集まり出している。

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